
朝から12メートルを超す風が吹き、470級男女、フィン級、レーザー級男女、RSX級男女、計7種目のレースが行われ、その他(3種目)は、中止されました。レースを行うかどうかの決定は、各種目のレースオフィサー、日本流に言えばレース委員長の判断にゆだねられています。インターナショナルのオリンピック種目の大会では25ノットから30ノットの風が一つの目安になっているように思います。30ノットの風ではどの種目も中止され、25ノットであれば、前記の7種目は、レースが行われます。
470級女子が定刻の11時ぴったりに、少し岸近くに移動したEエリアを使ってレースが始まりました。風向15度、風速9から14メートル、岸に近く、しかも陸風ということもあり、波高は高いところで50センチぐらいだったのではないでしょうか。トラぺゾイドはコースを2周する長さに設定されました。岸からあまり離れないように配慮したのでしょう。風上と風下の距離を短くしたとは言え0・7マイル(1260メートル)ないし0・8マイル(1440メートル)はあったと思います。
近藤・田畑組は本部船寄り10艇程の所からきれいにスタートしました。30秒ほど走ってタッキングし、右に伸ばしました。始めから、そのコースプランだったのでしょう。スピード良く右方向に艇団を引き連れる形で伸ばしていきました。待っていた右からのパフをつかんで左にタッキングを返しました。この時点でほぼトップの位置に見えました。第1風上マークを2位に15秒の差を付けて回航し、一時はダントツになりかけたのですが、ランニングのコースを約3分の2走ったところで風上側への沈をしてしまいました。幸い後続が大きく離れていた為に、沈をしても、風下マークを8位で回航することができました。その後は良く頑張り、追い上げて4位でフィニッシュしました。
第2レースも良いスタートで、やや本部船寄り、艇団の真ん中から出ました。スタートと走りが良い時の特徴でどうしても左に長く伸ばす傾向があります。大半の艇が左方向にいるのであればよいのですが、右に行ったということであれば、そこそこの所でタキングをし、右の集団をカバーする必要があります。良い走りをしながら風上マークは、右からマークに寄せてきた集団に先行され20位の回航になりました。サイドマークで13位、ランニングで8位と追い上げ、次の風上マークでは3位に浮上しました。その後、順位に変動なくフィニッシュしました。
昨日までの上位艇の中に沈をして順位を大きく落としたり、トラブルでのリタイヤーなどがあって、トータルで4位に浮上しました。
午後2時半より、男子のレースが女子に引き続き行われました。風向は25度、10度ほど右に振れ、風速も平均で1から1・5m落ちました。第2レースのスタートがおこなわれた3時半には、雨もぱらつくようになりました。インターネットでチェックした天気予報がぴたりと当たっていました。最近の天気予報は日本に限らず、どこでも良く当たり、それらをパソコンで見ることができるようになりました。予報が、時系列で的中するのには驚きます。全てはスーパーコンピューターのおかげでしょうか。
第1レース、艇団の3分の1、本部船寄りから出て右方向に展開し、風上マークを6位で回航した原田・吉田組でしたがOCSの失格でコースから排除されました。
スタートラインの風下で見ていた私も「そんなに早くメインシート引いて大丈夫?」と思わず叫びそうなスタートでした。リコールしたのは彼等を含め2艇だけ、スタートの号砲が鳴った時点で、自分達が周りの艇よりも前に出ているのが見えたはずです。スタートは、始めからI旗が掲揚されていました。黒色旗に準じるOCSの注意を喚起する目的で使われる旗です。あとで聞けば「スタートラインの見通しを取っていたから、大丈夫だと思った」との事でした。
彼等のOCSとBFDのスタートでの失格の多さにあきれ、そのたびに、自分のなえる気持ちに鞭打って、根気良く、何度も何度も、噛んで含めるようにあれもこれもとスタートに必要なことを教えてきました。確認したスタートラインの見通しがマークボートの乗員によって動かされる可能性、潮流や風向、風速変化で本部船との位置関係がずれる可能性、それらの危険を回避する為に「スタートラインでの潮流チェックの必要性」、「安全なスタートラインの見通しの取り方と、その必要性」、「運営スタッフの動向を観察し続ける必要性」、「一度ならず何度でも時間があれば確認することの必要性」等々、それでもなおと言うことですから、まだまだ、私自身の努力と工夫も足りないということでしょう。
第2レース、雨が降ると風は北東方向に変化するのでしょうか、マークは風向30度で打ち変えられました。アウトサイドリミットマーク寄り10艇右から無難なスタートをしました。今日の近藤・田畑組の第2レースとよく似た展開になりました。走りは良かったのですが、風上マークは13位、サイドマーク8位、風下マーク4位、その後、順位に変動なくフィニッシュしました。
原田・吉田組は初日を無難にまとめ、良い形で入れたかなと思った矢先の、まさかのOCSでした。またいつものお決まりの言葉で士気を鼓舞するしかありません。「レースは始まったばかり、まだどんなことが起こるか分からない、1レース1レースを大切に戦っていくだけ」
女子チームは、今日程度の風で沈をするというのが、今の近藤・田畑組のレベルです。一年前までの鎌田・近藤組のそれには到達していないことの証になります。
470級という二人乗りの艇は、二人合わせて「2の力」が磨かれてこそ、スピードもテクニックも向上するのであって、経験ある二人がコンビを組んだからと言って「2の力」がすぐに輝きを放つというものではありません。いつもいつも当たり前のことを言うようですが、とにかく練習あるのみです。
近頃、ヨーロッパのレースに強風が少なくなってきたと思っているのは私だけでしょうか。これは地球温暖化のせいではないかと考えたりもします。
このウエイマスで開催されるオリンピックは8月初旬です。おそらく強い風がこのように吹くことはないでしょう。
しかし私は、風の神様がいるのであれば、このレースは吹き続けてほしいとお願いします。8メートル以上の風で、私の見る限り、まだ世界のトップレベルに達していない原田・吉田組の為に、そしてコンビを組んで間も無い近藤・田畑組の為に技術向上のチャンスと練習の必要性を実感する試練を与えてくれることを祈ります。