2011年06月 アーカイブ

大会最終日…メダルレース進出逃す/ Sail for Gold 2011

決勝シリーズ終盤戦になっても首をかしげるばかりのチーム・アビーム。
残念ながら今回は、男子も女子もメダルレースに残れませんでした。
こんなこともあるんです。
「どうやら、この大会は僕には鬼門です。今までも一度もメダルレースに残れなかった…」顔は笑っているが、心中は辛い。
「レース中どうしても頭がついていかない。アイデアも浮かばない。手も足も出ない。」と、珍しく弱気な原田選手。
小さなミスが動揺を呼び、またミスを犯してしまう。負のスパイラル。
セイリングに限らず誰にもあることです。
それでも、26位まで落ちた時はこれ以上悪くなりようが無いと判断して、
吉田選手と相談して、セッティングを変えてみたそうです。気分一新。
何と翌日、トップフィニッシュを果たしました。
無欲だったから…。それとも前の晩の夕食がトンカツだったからでしょうか。
「時…すでに遅しです。」と原田選手。メダルレースまで余すところ1レースでした。
何とか18位までは這いあがったのですが。

女子チームにも同じようなことが起きていたようです。
不本意なレース結果。久しぶりです。メダルレースの当日に片づけに入れるなんて。
「コースが読めないんですよね。思うようにコースが取れなかった…」と田畑選手。
毎回スーパーなスタートを見せてくれた彼女たちですが、
有利にポジションを展開できない、レースをまとめることが出来ない…
何かに振り回されていたようです。
「何がずれているのか…」と首をかしげることしきり、近藤選手。

このクセのある海面、何も掴めずに終わってしまったということでしょうか。
そんなことはない筈です。昨年、開催時期は少しずれていましたが、表彰台に上ったのですから。

今大会では多くの国が、五輪本番はもとより、テストイベント(プレオリ)の選考を兼ねていました。
イギリスなどはこの期に及んで、8月に行われるプレオリの最終選考を兼ねているということでした。
そうなると選手の意気込みには格段の差が出てきます。
確かに、各国見慣れた選手たちも、かなりのテンションの上がり方です。
否が応でも仕上がりをこの大会に持ってきていたのです。

小松監督に今大会を振り返って感想を伺いました。
今大会、試合前既に感じていたそうです。「惨敗に終わっても驚かない…」と。
それほど流れている空気、緊張感が違っていたそうです。
「どの選手たちも目の色が変わっていた。我々のチームは(日本選手団も然り)仕上がりの照準をもう少し先に合わせていたのだが、この大会を“遠征の天王山”だと考えるべきだった。
しかし、この成績は真摯に受け止めなければならない。
表面的な、ただ悔しいという捉え方だけでは、これまでやってきたことが生かされないと思う。
残された時間は他のチームにも同じ、この冷酷な結果を進歩に変えなければ意味が無い。
更に見直さなければならないことは山ほどある。例えば男女とも絶対的なスピードが無いわけではないのだが、コース・ストラテジーが貧弱であるなど課題がある。
望むらくは、もっと強かな、賢いレースをして欲しい…」

ちなみに、(一部を除き)日本チーム(チーム・アビームは470クラス)の五輪最終選考レースは、今年12月のオーストラリア、パースで行われる“ISAFワールド・チャンピオンシップ”となります。

【Sail for Gold 2011 最終順位】
近藤・田畑組: 13位
原田・吉田組: 18位



トップフィニッシュを決めた原田・吉田組。しかし時すでに遅し・・・


コースがまとめられない・・・


今回パラリンピックの選手団の強靭さには驚かされた。強風でも如何なる状況でも健常者と変わらず、果敢にレースを展開。



この頃ではお馴染みになった、トラッキングシステム。メディアセンターでも、会場の大型画面でも見られる。


ドクターボート


夕食はトンカツ。ゲン担ぎ?! 自炊が鉄則のチーム・アビーム。


後片付けも手際よく慣れたものです。


現地レポート:塩澤朋子(フォトウエーブ)
写真撮影:添畑 薫(フォトウエーブ)

大会公式サイト:
http://www.skandiasailforgoldregatta.co.uk/_1729/Results

こちら、Sail for Gold レガッタ会場のWeymouth and Portland National Sailing Academy!
今年のプレオリ、そして来年の本番、と オリンピックを見据えた、大会周りの様子をご紹介しましょう。

まずは、我々にとって、お馴染みのプレスセンター。
選手はスタート前のポジション取りが重要ですが、我々プレスも朝なるべく早く来て場所取りします。
なぜなら、電源の確保!これが熾烈な戦いなのです。

記事を書くにも、写真を取り入れるのも、編集するにもパソコンをつながなければ何も始まりません。陣地を確保したら、まずまずの成功。
ポジション取り!これが肝心なのです。


おびただしい数のトレーラーが並ぶ置き場の風景。トレーラー屋さんだってこれほどの数は揃いません。
壮観です。当たり前ですが参加艇の数だけあります。


セーリング・アカデミーのバース、今は大会参加者の競技艇がズラーっと並びます。出廷前の様子を丘の上から。


62ヵ国(!)の国旗が25ノットの風になびきます。


現地レポート:塩澤朋子(フォトウエーブ)
写真撮影:添畑 薫(フォトウエーブ)

Team ABeam スタッフ

太陽がまぶしいくらいの朝でした。
風も早くからコンスタントに吹いています。これは期待できます。
大会側が出しているリリースにも、この時期
「ウエイマス湾ポートランド・ハーバーらしからぬ強風が吹き荒れた」とあります。
そうです、西南西の風、25ノット、ガストは29ノットまで上がりました。
故障艇、デスマスト、セイルトラブル、もちろん“沈”も続出。
我々といえば、またもやカメラが1台壊れてしまいました。
泣く子と地頭に…ではなく、泣く子と強風には勝てません。

しかしここに、強風を制した女子がいました。
チーム・アビーム 女子、近藤・田畑組。レース5のことです。
「強風の女王」と呼ばれているオランダのリサ・ウエスタホフと抜きつ抜かれつの白熱した試合を見せてくれました。
3位から2位にぐんぐん追い上げ、結局首位は譲りましたが、堂々の2位。素晴らしいです。
本日まで6レース消化できましたので、これで晴れて1レース棄てることが出来ます。
そこへきて、リサがレース6でDSQ(47P)をたたいてしまいましたので、
近藤・田畑組は8位に浮上しました。これからの彼女たちの巻き返しが楽しみです。

男子は、予選シリーズが終了しましたので明日からゴールド・フリートとシルバー・フリートに分かれて試合します。
原田・吉田組はゴールドフリート。現在26位と不本意なポジションながら。

天気予報は、明日も同じような天候で、やや強い風が吹くとのこと。
ここは潮も強いようです。手強いですね。

男子/原田・吉田組  5-(21)-19-3-19-12   (26位)
女子/近藤・田畑組 (DSQ=47)-9-9-17-2-11  (8位)


近藤・田畑組、強風をよく制し8位浮上


原田・吉田組、明日からゴールドフリートで決勝シリーズ


現地レポート:塩澤朋子(フォトウエーブ)
写真撮影:添畑 薫(フォトウエーブ)


大会公式サイト:
http://www.skandiasailforgoldregatta.co.uk/_1729/Results


Team ABeam スタッフ

ヨーロッパでのレースは、陽がいつまでも高いので、夕方どころか夜遅くまで普通に行われることが
多いのが玉にキズ。早寝早起きの選手たちとっても体力勝負、セルフコントロールがとても重要です。
初日、470クラスのレースは9時ごろに一応終了しましたが、女子のプロテスト、審問と、気がつけば10時、11時になっていました。本当にお疲れさまでした。

2日目、早朝には真っ青な空が広がったのですが、あっという間に雨雲に覆われ、9時ごろにはカッパのフードでは凌げないほどになってきました。
風もコンスタントにあります。

スタートの予定時刻11時ごろになると雨も上がり、と同時に風もさらに上がってきました。
8~9mほどでしょうか、ガストは10m強。風向は昨日と同じ230度。

まだ予選シリーズ2日目ですが、4レースを終えた処で小松監督に伺いました。
「昨日の女子の第1レース(DSQ)の件もそうだが、もったいないレースの落とし方をしている。
例えば女子は素晴らしいスタートを切っても、その位置を持続させることが出来ない。男子も然り、
前を走っていてもあっという間に順位を落としてしまう。少しレースの組み立てが大雑把過ぎるのかなあ・・・」

原田選手も一言目が「もったいないことをしました・・・」でした。
それは本日1レース目、第一上マークを2位で廻りボトムマークへ。集団から離れたコースを取ったのですが、風は集団の方に味方したのです。
結果19位までもってきましたが、吉田選手「一時はとんでもないところにはまって・・・」悔しさもひとしお。
「ホントに悔しい・・・」とほぞをかむ思いをぶつけます。
ちょうど居合わせた49erの牧野選手もうなずきます。
「皆、仕上がってきてますね。どのクラス、どの選手を取ってもこういう大きな大会では、上位の選手はスキルが僅差なので、小さなミスが取り返せない」

さあ明日は予選シリーズ最終日。風はもっと上がってくるそうです。潮も複雑で強めです。 

男子/原田・吉田組  5-21-19-3 (20位)
女子/近藤・田畑組  DSQ-9-9-17 (23位)


今日の写真は、このところ素晴らしいスタートを切る女子近藤・田畑組を、風下側から撮影したシークェンス(連続)写真。
スタートから15秒ほどで470級ISAF世界ランキング2位のイタリアのジュリア・コンティを完全に押さえます。

そして男子、原田・吉田組は、2日目第2レースの3位フィニッシュで、やっと白い歯がこぼれました。


現地レポート:塩澤朋子(フォトウエーブ)
写真撮影:添畑 薫(フォトウエーブ)


大会公式サイト:
http://www.skandiasailforgoldregatta.co.uk/_1729/Results

Team ABeam スタッフ

セーリング、ワールドカップ第6戦、『セイル・フォー・ゴールド』がスタートしました。
2012年ロンドンオリンピック開催まで420日足らず、8月には本番に向けてのテストイヴェント(プレオリ)もあります。
今年12月にオーストラリア、パースで開催される『パース 2011 ISAF ワールド・チャンピオンシップ』と共に並ぶ非常に重要なレースです。
1972年からウエイマス・オリンピックウイークとして開催されていた同大会は『セイル・フォー・ゴールド』となって6回目、ISAFワールドシリーズの大会と認定されてから3年目となりました。
出場者は62カ国、755艇、1,072名の選手と過去最高だそうです。
チーム・アビーム男子が出場する470級男子は、28カ国、77艇の参加。
女子は24カ国、46艇の参加です。
イギリスの力の入れ方は相当なもので、メディアの数の多いこと。
例年より広くなったメディアルームにはひと昔前のように、新聞、雑誌のような紙媒体は一握り、ほとんどがBBCを筆頭にTV,ビデオ、FMなど電波メディアの関係者ばかりです。

さて、イギリスは先週に素晴らしいお天気を使い果たしてしまったようです。日曜日からいつもの雨模様のこの国らしいお天気が戻ってきてしまいました。
おまけに初日は風が無く、朝9時にはAP旗が揚がり陸上待機。いずれの選手たちも午前中は所在無げに、ただひたすら風が西に廻って上がって来るのを待ちます。
何か機先を制せられたような気がします。
それでも49erやマッチレースは昼前には出航。男子470級は14時半出航。
女子はその後です。

残念なことに第1レース目、近藤・田畑組は痛恨のコースミスを犯してしまいDSQ(失格)となってしまいました。
スタート7分前本部船の掲示板にはアウターループと掲示されていました。
近藤・田畑組は風下からスタートしようと向かいます。
処がコミッティーは5分前に急遽インナーループに変更したのです。
(ISAFルールでは予告信号5分前まで変更してよいことになっている)

下側スタートをしようとした近藤・田畑組を含め他の6艇はこの変更を確認できず、アウターループのコースを取ったのです。
この勘違いにはもう一つ理由があります。通例では前のグループがインナーループの場合、混乱を防ぐために次のレースはアウターになります。
何故コミッティーが急遽、変更したのか明らかでありませんが、近藤・田畑組と他の6チームはコミッティにプロテストしました。
が、救済の対象にもならないと云うことで失格。勿論レディたちに充分な同情を示してくれたそうですが。
興味深いことに、この失格組にはオランダ、スペイン、フランス、ニュージーランド、イギリスといったいつも上位を争うトップクラスのチームばかりだったのが皮肉な結果です。

いきなり第1レースが棄てレースになってしまいましたが、却ってこれが彼女たちにとって、起爆剤となったのではないでしょうか。残りのレース全てが上位フィニッシュというミラクルを信じています。
当然男女とも壇上へ、BBCのインタビューを受けようじゃありませんか。

【初日結果】
原田・吉田組  5-21=26P
近藤・田畑組  DSQ(47)-9=56P


現地レポート:塩澤朋子(フォトウエーブ)
写真撮影:添畑 薫(フォトウエーブ)


Team ABeam スタッフ

オリンピックを目指す選手たちが、ワンボックスカーに競技用具や身の回りの物を詰めて、
レースを転戦していく様子を表して「ファイブリング・サーカス」といいます。
言い得て妙です。
セイリングは大きな道具を使う競技としては筆頭に上がるのではないでしょうか。
乗馬、カヌーやスキーなども同じように、身一つで試合に出向くという訳にはいきません。
車上にディンギーをくくりつけて、トレーラーを引っ張って走り去るワンボックスカーを
ヨーロッパの高速道路では、しばしば見かけます。陸続きだからこそ可能な『遠征ジャーニー』、
思わず心の中で「ガンバレ!」と声をかけたくなります。

チーム・アビームも毎年、春から夏の終わりまでの約半年、ヨーロッパ遠征に出ます。
オランダ、メデンブリックの『デルタロイド・レガッタ』を終え、遠征もいよいよ中盤に差し掛かってきました。
チームは休む間もなく、次の試合地イギリスに向かいます。
試合を終え成績が良くも悪くも、感傷に浸っている時間はありません。
いち早く次のレース地に向かうべく、準備に取り掛かるのです。
ヒッチメンバー(牽引トレーラーとの連結器)付きのワンボックスにトレーラーを牽いて、コーチボートに、
470艇が2ハイ。
1000キロの道のりを無事走り抜けることが出来るように、細心の注意を払って工夫の上に工夫を重ね、荷造りします。
まさに職人芸、選手も監督も慣れたものです。
あれよあれよという間に手際よく収まっていきます。見事なチームワークです。

オランダ、メデンブリックの朝まだき、5時30分出発。
これからベルギー、アントワープを抜けてフランスのカレイへ、ドーバー海峡を渡って、
次の遠征地イギリスに入ります。
ドーバー海峡の下を通っているユーロトンネルを使うか、フェリーでゆっくり行くか…。
とにかく今日中に着きたい!これが本音です。
交代で運転していきますが、自分のパートでない時は、本を読んだり、音楽を聴いたり、
瞑想したり?!思い思いに過します。
「移動中の車の中だけです。ゆっくり休めるのは…」と近藤選手。
とはいうものの、トレーラーを牽いての移動には言い知れぬ神経を使います。
車移動にはつきもののタイヤのパンク、荷崩れの心配、ストレスは容赦なく襲ってくるのです。
「いやあ、昔はもっとひどかったな。ナビがあるだけでも格段の進歩。今は有難いことに、
車両もトヨタ自動車から提供され、恵まれています。これだけでもどれほど助かるか…。
(私が選手の時は、)一人きりで膝に地図を広げ、昼夜寝ないで走ったりもしました…」と小松監督。

結局、一行はフェリーで1時間半かけ、昼食を取りながら行くことにしました。
カレイのフェリー乗り場では、チームと同じように、見覚えのあるヨットを載せトレーラーを牽くワンボックスカーを何台も見かけました。
さて、ドーバーへは入国審査を経て乗り込みます。つかの間の休息。
1時間ほどするとあの懐かしいドーバーの白い壁が見えてきました。
目的地ウエイマスはロンドンオリンピックのセイリング開催地。
ドーバーからは3時間以上は走らなければなりません。気がつけば朝出発してから12時間を超えました。
宿舎につくと選手たちは荷物を解き、いつものように着々と、オランダを出てきたときと逆の作業をして、いつでも練習に入れるように、日常生活を整えていきます。長時間の移動など、まるで無かったかのように…。

翌朝、会場となるポートランドのセイリング・アカデミーのバースには各地から、
「ファイブリング・サーカス」を経てやってきた選手たちが続々と集まってきました。
さあ、もう間もなく、『セール・フォー・ゴールド』がスタートします。


レースが終わったら、すぐに次のレース地へ向けての移動準備です


長距離を移動するので、慎重に艇をスタッキング


入念に、しかも手早く


翌朝5時30分出発。これからベルギー、アントワープを抜けてフランスのカレイへ、ドーバー海峡を渡って、次の遠征地イギリスへ!


各国チームも皆、次のレースに向けて


オランダは、ずっと昔から風力を活用してきたのですね どうりでヨットも強いわけです


住宅街を抜けて・・・


ハイウェイへ! 他のチームも移動中!


オランダからベルギーへと海側を南下して、フランスはカレイのフェリー乗り場に向かいます。タイヤは大丈夫かな?


これから入国審査 パスポートを確認です


ようやく落ち着いてフェリーの中で食事です


トレーラーと470も荷室で しばし休憩中


英国側のドーバーに到着! まずは給油 これから更に3時間以上は走ります


ロープ緩んでない? 大丈夫?


あー・・・ やっぱりパンク・・・


雨の中、急いでタイヤ交換!


ようやくウェイマスに到着! 雨も上がりました


とりあえず宿に荷物だけ下ろして、トレーラーはハーバーに置きます


翌朝、とるものも取りあえずハーバーへ  さっそく470艇の艤装に取りかかる


がんばろう!!NIPPON


いつでもすぐに海に出られるように


ウェイマスの美しい夕日  この地に日の丸を!!


現地レポート:塩澤朋子(フォトウエーブ)
写真撮影:添畑 薫(フォトウエーブ)