≪メダルは逸したけれど・・・≫
南仏海辺の旧都Hyeres(イエール)で開催された“セーリング・ワールドカップ”第4戦
“第43回フランス・オリンピック・ウイーク”が終了しました。
大会は軽風、中風シリーズでしたが、予選シリーズ開始前は強風が吹く荒天で、大会終了後再び、荒天に戻るというほぼ1週間のサイクルが、この地の特徴のようです。予選開始と同時に風が止み、シリーズ通して強風は一度もなく、その上右に左にシフトする風に泣かされた大会でした。そんな中、チームア・ビームは男女とも健闘しました。
男子470級、原田・吉田組はメダルに片手着いた感がありましたが、総合5位入賞。
女子470級、近藤・田畑組は、本来のポテンシャルを出せずに苦戦。37位・38位と、らしからぬスコアで驚かされたのですが、仕切り直して復調しメダルレースに進出しました。メダルレースでは眼を見張るような完璧なスタートを切り3位を収め順位を上げました。通算で総合8位までにもってきたのは流石です。
大会終了後の各選手のコメントです。
原田選手「この大会は今年で4回目、1回目はメダルレースにも残れず、2回目、3回目が5位、そして今回…も5位。ほとほとメダルに見放された感じです。が、欧州遠征3戦目、内容は確実によくなってきていると思います。
今大会に関しては、最初の5位の時は赤いビブを着てのメダルレースで、上位とは僅差でした。今回も表彰台が目前だったので、やはり悔しい。シリーズの戦い方に問題がある。1点2点を丁寧に拾っていき、取りこぼしの無いようにしたい。本来、メダルレースにはメダルの色を決めるぐらいの余裕を持って臨めるのが理想的なので…」
吉田選手「全体の流れを考えて戦うようになりたい。今までは前半で、カットできない悪い順位を取ってしまい、後が無いという状況で戦ってこなければならない状態がよくあったが、そういう意味では今回、余裕があったので落ち着いていられた。
最悪の順位でも6位、2位になれるチャンスもあったメダルレースだが、スタートで判断を見誤り、結果順位を落としてしまった。そのままスタートするべきだったのです。
チームのコンセンサスも「行く」と決めていれば結果は違っていた。問題はなぜあの時、「行け」と言えなかったのか、自分にある。
12月の代表選考の行われるパースまで国際レースも数えるほどしかない。タクティクスをもっと磨いて成長していきたい」
近藤選手「今回のレースは、大会スタート前にマストのアクシデントがあり、レースに間に合わないのではと思うほど、ドタバタしてしまった。その乱れは前半尾を引き、その後の試合に響いた事は否めない。マストも新しいものだったため、練習不足もあり、確認しながらの試合運びだったというのがそもそもNG。コースもうまく引けないし、スピードにも集中できない、散々だった。しかし中盤、チーム内でしっかり話し合い、確認し合い、だめな処と向き合った。そうしていい方向が見えてきた。これは最大の収穫だった。
でもまだ、劇的に変わったとは思わないが。早く「あの時イエールで…よかったね」といえるような試合をしたい。
今年の目標?!一つ一つ課題に取り組んで克服していきたい。その結果、代表の座を獲得できれば最高。とにかくチーム力を上げることです」
田畑選手「軽風シリーズでスタートが巧く出られなくて苦戦してしまった。もう少し風があれば、また違った展開になっていたかもしれないが。
中盤からチーム内で話し合い軌道修正できたことは、今後の試合につなげられる良い収穫だったと確信している。スタートもよくなった。
今後の抱負、出る試合全て表彰台に上りたい。正直もう時間がない。大詰めとなってきたので、これからは確固たるチームワークを確立し、全力で走るしかないです」
小松監督「欧州遠征3戦を終えて…。全体的な感想は、正直もう少し行けるかなと思った。沖縄に始まり、効果があったと云えるスペインでの練習試合など、周到に着々と積み上げ準備してきたつもりだった。
しかし、自分たちがやってきたことは他の選手たちも、それ以上にやって来ているのだ。
その上を行かなければならない。とはいうものの、欧州遠征1戦目の『第42回プリンセス・ソフィアカップ』では女子が銀メダル獲得。直前のラ・セーヌ・シュルメールで開催された『第36回スプリングカップ』では男子チームが、主だった強豪が揃うレースで優勝した。これは評価できる。走らせ方など技術的な向上も認められる。そのままイエールでも行けるかなと思ったのだが残念だ。表彰台に登れたはずだからこそ尚、「まだだったのか…」という敗北感が正直無いわけではない。
国際試合に出られるのも後わずか、数えるほどしかない。時間が無いのだということを、肝に銘じて、自分に甘えることなく精進していってほしい。
技術的な向上はもちろん、チーム力を高めるのにはどうしたらいいか。一人ひとりが努力するのは当然だが、チーム内でとことん話し合い、解決するために努力してほしいと示唆した。その結果は良い方向に行ったと思う。
私としては、男女とも早く世界チャンピオンになってほしい。その結果、代表になるというのが理想である」
震災に触れて小松監督は続けた。
「あまりにも大きな悲劇で、被災された方々にどんな言葉を使っても恥ずかしいレベルの言葉しか出てこない。自分たちスポーツに携わる者は一生懸命やることによって言葉に変えることが出来ると思っている。経済人は経済を…、政治家は政治を…、それぞれの役割を全うすることで、世の中は少しでもよくなるのではないか。
震災が起きて2日後に欧州遠征に出た選手たちも、インターネットやTVのニュースなどで見る悲惨な様子に心を痛めていた。海外の選手たちからも見舞いの言葉や案じる言葉をかけられ、温かい気持ちになったのだが、同時に自分たちに何が出来るかといえば、一生懸命戦ってよい成果を上げるほかないと言い聞かせてきた。
そして、日本への応援スローガン「がんばろう!NIPPON」ワッペンを付けて、シリーズを戦ってきました。これからも選手たちは、このワッペンに謳われている気持ちを込めて戦っていきます。」
次はオランダ、メデンブリックで行われるワールドカップ5戦目『デルタロイド・レガッタ』に参戦します。
現地レポート:塩澤朋子(フォトウエーブ)