スカンジア セールフォーゴールド レガッタ 2010 (イギリス・ウエイマス) 8月9日 大会初日

小松 一憲

雲間から青空がのぞき、薄日の差すイギリスらしい天気となりました。レースはスケジュール通り順調に進み、予定の2レースが実施されました。朝、公式掲示板に張り出された予報は、気温20度、水温17から18度、西南西の風、レース開始の11時に風速が6から10ノット、終了する時間帯の15時に8から15ノットというものでした。実際のところ、470級のレースエリアでの風速は、予報より平均で2ノットほど多く、5から8メートルでした。

潮流は、陸に近いスタートライン付近で1分間に5メートル、風上マークで15メートル、風向215から240度に対し、250から260度方向に流れる追い潮で、レースが進行するに従って少しづつ強くなり、1ノット(1分間に30メートル)近くなりました。

スタートは、追い潮の為、混乱するのではないかと思いましたが、一回のゼネラルリコールの後、二回目からブラックフラッグが掲揚され、坦々と進行しました。出場選手のレベルの高さもあるのでしょう、失格艇(BFD)の数は、予想以上に少なく、2レースで男子出場60艇中わずかに2艇だけでした。

男子、原田・吉田組は、第1レース、ブラックフラッグが掲揚されたスタートで、本部船寄りの7番の位置からでました。スペースの取り方、メインシートを引いて走り出すタイミング、走り出した後のスピード、どれも悪くなかったのですが、スタートラインの左右の選択に問題がありました。コースは左(沖)海面の追い潮が右(岸に近い)に比べ明らかに速く、潮流だけを考えれば左海面に展開すべきでした。スタートラインはやや本部船サイドが有利のように見えましたが、レースコミッティーが慎重に設定したスタートラインでもあり、これを一時的なものと考え、ラインの左サイドから出て左に伸ばすのが正解でした。

原田・吉田組は、スタート後1分ほどしてタキングしました。本部船寄りから出て左に伸ばしかけたのですが、アウトサイドリミットマーク寄りから出た艇が潮で次第に風上方向に押し上げられ、あたかも風が左に振れたように見えてきました。これを嫌ってタキングし右に出したのですが潮流の恩恵は受けられません。スタートラインの左右の選択を間違えた為に起こった現象ですから、風が振れていないのであれば我慢して左に伸ばすべきでした。潮流の強い方向がどちらか一方にある場合、海面の選択は向かい潮においても同じで、これと言って難しい事を言っているわけではありません。
第1風上マークは15位、風下マークで18位、第2風上マーク11位、フィニッシュ12位でした。

第2レースは、アウトサイドリミットマーク寄りを狙ったのですが、凹んだスタートとなりました。スタート後すぐにタキングをし、ほぼ全艇の後ろを通過して右に出ました。フレッシュウインドになったところでタキングを返し、再び左方向に伸ばしました。第1風上マークは、後から聞けば6位ないし7位だったのとのこと、第1レースの二回目のクローズホールドでの追い上げも合わせて考えると、クローズホールドのスピードに問題は無く、スタートとそれに関連するコース取りが問題だったと言えます。第1レースでも見られましたが、クローズホールドで抜きランニングで順位を落とす展開でフィニッシュは9位でした。

女子、近藤・田畑組は、第1レース、アウトサイドリミットマーク寄りの7番手、第2レースも3番手で良いスタートをしました。走りも悪くなく左(沖)方向に伸ばし、どちらのレースも第1風上マークを3位で回航しました。2レースとも第1風上マークを3位以内で回航したのは、近藤・田畑組を置いて他に有りません。理由は、いつも言うことですが「スタートが良い」、「コース取りが良い」、「スピードが良い」の三拍子が揃ってのことで、今日のコンデションでのクローズホールドの安定感は、抜群でした。これを切り口にして、足りないところを補っていく努力をして欲しいと思います。得意風速域を持つというのは選手として強みと言えます。
ただし、3位を守りきれないところに問題があります。フィニッシュの結果は7位と4位、トータルで初日2位の好発進ですが、男子同様、ランニングで順位を落とす傾向があり、ここを改善し、3位から、さらに順位を上げてくる選手へと脱皮することができれば、どのレースでも常に表彰台の近くにいるチームになることでしょう。長く選手生活を続け、練習と試合の日々を送っている選手が、脱皮する切っかっけをどの様な機会につかむのでしょうか、私は、足りない技術と正面に向き合う謙虚さとチャレンジを続けることで、ある日、ある時、あっさりと手に入れる時が来ると信じています。

曇天と言うのは、平均して、そこそこの安定した風が期待できます。ヨットレースには恵みの天気かもしれません。明日のレースも順調におこなわれるはずです。ヨットレースの難しいところでもある、攻めと守りをしっかり使い分け、旺盛なチャレンジ精神で、のびのびとレースして欲しいと思います。