2010年 470級世界選手権大会 (オランダ・スヘフェニンゲン)報告 7月15日 大会4日

小松 一憲

朝から低い雲が、大変な速さで流れ、強い風が吹いていました。数日前から強風が予報され、スケジュールの遅れは今日で一気に取り戻せるのではないかと、誰もが期待したのではないでしょうか。レースの開始時間は、10時からと、前日よりさらに一時間早やまりました。それに合わせてハーバーに行ったまでは良かったのですが、今度は風が強すぎるということで、「一時間陸上で待機」の信号が出ました。スケジュールから言えば、昨日までの三日間で6レースが行われ、今日から決勝レースが始まる予定でした。しかし男子は5レース、女子は4レースしかできていません。この大会は予選レースが6レースに満たない場合、4日目(本日)まで予選のレースをおこなうと規定されています。男子の予選の残り1レース、女子は2レースをおこない、一旦陸上に戻して成績を集計する、その後、男子上位40艇、女子31艇で新たにグループ分けし、決勝のレースをおこなうことを考えたのでしょう。1時間遅らせた割に風速の変化は無いまま、9時30分に出艇しました。ところがハーバーの中で沈をする、スタートラインまで行く間にマストを折る、スタート前の沈艇続出にレースコミッティーもひるんだのでしょう、11時に陸上に戻るよう指示が出されました。風は9から14メートル、浅い水深に加え、風向と逆に流れる潮流の影響もあって、波長の短い高い波が立っていました。沈艇の多くは、この波に刺さって、あるいは刺さるのを避けようとしてのトラブルだったと思われます。陸上に戻ってくると、マストやティラーを折った艇、ガスケットを剥がした艇で溢れていました。
その後は、陸上で待機すること6時間、風が収まるのを待って夕方18時に出艇しました。私は女子のレースを見に行ったのですが、19時20分より風向240度、風速4.5から7メートルのコンディションで1レースをおこなうことができました。男子は、聞くところ、スタート前に風が落ち、スタートはしたものの、向い潮で艇が進まず、第1風上マークへの到達に時間(帆走指示書上、ターゲットタイム30分)がかかり、キャンセルされたとのことでした。

近藤・田畑組はアウトサイドリミットマーク寄り、左から8番の位置でスタートしました。スタートラインの風下にいた私には、良いタイミングでメインシートを引いて出て行ったように見受けられたのですが、30秒後に逃げのタッキングをして右に出て行かなければならなかったところをみると出た位置が、向かい潮を計算できずに凹んでいたと思われます。フィニッシュしてから聞けば、「風下、風上共に多くの艇がかなり前に出ているように見えた」という感想でした。実際は早すぎるスタートをしてOCSと判定された艇は1艇だけでしたから、おおきく凹んでいたことが想像できます。向かい潮の強い右の海面に展開しながらも第1風上マークの回航は11位でした。大多数の艇は、岸寄りの向かい潮が弱くなるところまでスターボードタックを伸ばしていました。潮の弱いところをはずさずに風の振れに合わせて走り、潮に押し戻されるのを計算して風上マークにアプローチするという、向かい潮のセオリーとも言うべきコースの取り方をしていました。11位で回航できたのは、走りが良かったからと言えるでしょう。2回目のクローズホールドは、しっかり左に展開し、6位に上がってきました。スタートする前のプランと、それを生かす為のスタートが、今一つうまくいっていないことが第1風上マーク11位回航の原因を作っていたと思います。残り、二日の決勝フリートレースは、レースの組み立て方について良く考え、ワンランク上のレースをしてくれることを期待します。

第2レースは、女子の海面も風が弱くなり、キャンセルされました。ハーバーに戻ってきた時には9時を回っていました。この様な時間に帰港することは、ヨーロッパのレースでは珍しくありません。サマータイムと高い緯度のおかげでしょう。今日一日を振り返り、「セーリングはテレビ・新聞にそっぽを向かれても仕方ない、メディア受けしない競技」だということを実感します。しかし、自然相手だけに奥が深く、人を虜にして止まない競技であることも、午後7時を過ぎ、快晴となった北海を鮮やかなオレンジ色に染めて沈む夕陽を見ながら思いました。