2010年 470級世界選手権大会 (オランダ・スヘフェニンゲン)報告 7月13日 大会2日

小松 一憲

ヨーロッパに長く好天をもたらした大きな高気圧が消え、西から前線を伴った低気圧がゆっくり近づいてきました。風が弱いのも今日まででしょうか、青空が広がったり、雲に覆われたり、空の変化と共に小幅ながら風向と風速も変化しました。11時のスタートに合わせて出艇したのですが、風が弱く、すぐに陸上に戻されました。15時までスタートが延期され、選手達は食事を取った後、13時30分に再び出艇しました。

風向350から20度、風速2.5から6メートル、潮流は下げ止まりから上げのMaxまでの時間帯で、男子が3レース、女子は2レースがおこなわれました。
男子は港を出て右側のアルファーコース、女子は左に作られたブラボーコースでレースをしたのですが、二つのコースの間に港の航路があり、その航路の幅を離して設定されたそれぞれのコースの中心の距離は、4マイル近く離れています。薄もやが出ていた今日のコンデションでは双眼鏡を使ってもチームを識別することはできません。したがって男子と女子のレースを両方同時に見ることができず、アドバイスを与えることもできません。男女共に自分達の力でスタート前の調整をおこない、作戦を考える必要がありました。チームの力、すなわち二人の力量が問われたと言えます。私は海上でスタート前に細かい指示は出しません。作戦を考える際の基本的な留意点、注意を払わなくはいけない事項、セールの形、気持ちを整える為に効果的と思われる言葉を状況に応じてかける程度です。あれこれ言うのは、試合前の練習でおこなうべきであると考えています。とは言え、普段、海上で行動を共にするコーチボートが、そばにいるかいないかは、安心感と言う意味からも大きな違いでしょう。

今日、私は女子の第1レース及び第2レースのスタート、男子の第3レースを見ました。近藤・田畑組は、私が見た2レース共に、スタート位置の取り方と走り出しが良く、安心して見ていることができました。第1レースはアウトサイドリミット寄りの2番手、第2レースは6番手、風速3から6メートルのコンデションでした。スタート後の走りも良かったと思います。今日の成績はどちらも6位でしたが「我慢して振れを待ち、良いと考えるレグを伸ばす」、「フレッシュウインドで走れるコースサイドをキープして戦う」、「ちょこまかとしたタッキングをしない」等、コースの取り方を修正することで、同じコンデションであれば、ワンランク上の成績でまとめることができると思います。第3レースはスタート後、風上マークに到達する前に風が弱くなり、途中で中止になったとのことです。スタートは、出るサイドを間違え、目を覆うようなスタートだったと聞きました。この幸運と今日の経験を生かし明日からパワー全開でレースしてほしいと思います。

原田・吉田組の私の見た第3レースのスタートは、失敗スタートでした。ブラックフラッグ掲揚のスタートで、本部船寄りを狙っていたのですが、15秒前にラインからはじき出され、入る所が無くうろうろしていました。潮流はスタートラインに対し約50度風下方向から、すなわちスターボードタックに対し直角に近い角度でMax2ノット(秒速1メートル)の速さで流れていました。スタート号砲後、4回のタッキングでスターボードタックのフレッシュウインドをつかみました。その後、風上マークまでほぼ全艇がスターボードタックを伸ばし、ポートタックをほとんど走ることなく風上マークに到達しました。風上まで10分間スターボードタックを続けると600メートル、右風上方向に押し上げられながら走る計算になるので、ほとんどポートタックを走らなくても風上マークに到達することになります。マークの近くになってポートタックを走った艇の中には、スピンを上げて風上マークに向かってくる艇があったほどです。走りは悪くなく、風上マークを6位で回航し、サイドマークまでに4位、第1風下マークで2位に上がり、フィニッシュは2艇身差まで追い上げ、2位でフィニッシュしました。

第1レース(9位フィニッシュ)は失敗スタート、第2レース(20位フィニッシュ)は、良いスタートをしたとのことですが、スタート後右に大きく風が振れ、順位を落としたと聞きました。そうだとしたらスタートするサイドを間違えた失敗スタートだったと言えます。なぜこのような辛口になるのかと言えば、今日の3レースをすべて1位でまとめたオーストラリアはじめ、2位から5位以の成績でまとめている上位陣をみると、いつもの顔触れなのです。しかも誰でも走れる今日の風速を考えると、スタートとコース取り、潮流への対応が、きちっとできていたのでしょう。よくありがちな、「しかたなかった」、「アンラッキー」等の言葉を使っては進歩が望めません。
サッカーワールドカップの日本の戦い方を評してオシム前監督が「日本人は悪かったことをはっきり言わない傾向がある」と新聞に書いていたように記憶するのですが、私もそう思います。明日の前進の為に良かったことも悪かったことも、噛み砕いて考え、吟味したいと思います。
女子は6・6位のトータル7位、男子は9・20・2位のトータル19位、まだまだレースはこれから、1レース1レースをしっかり考え、大切に戦ってほしいと思います。