デルタロイド レガッタ 2010 大会報告 5月26日 大会初日

小松 一憲

ISAFグレード1のレース、オランダ・メデンブリックでの大会が今日から始まりました。このメデンブリックは、日本の470陣が36年前、初めて海外遠征をした所で、昔ながらの家並みと城が残る、小さな観光の町です。その初遠征は、前年度の世界チャンピンに勝って2位となり、華々しくデビューしました。華々しいなどと本人(小松・奥崎組)が言うと、誇張しすぎと笑われるかもしれません。その後、ここで1978年、甲斐・小宮組が世界選手権で優勝、女子の重・木下組の大活躍(詳しい成績を思い出せません)があり、さらに3年前、女子の田畑・栗田組が優勝、続いて昨年、近藤・田畑組が優勝しました。田畑選手は、2年連続でスキッパー及びクルーとして優勝しています。

日本選手が過去に良い成績をあげた場所と紹介すると、今日もそれに準じたレースができたのではないかと期待されるでしょうが、アビームの2チームは、それぞれに苦しい初日となりました。前線がオランダの南に、斜めに横たわり、そこへ北東の冷たい風が入る、日本の関東南岸でもよく見られる気圧配置となり、手袋が欲しいほどの寒さになりました。天気は曇り、厚い雲が時折空を覆いました。風は男子のレースが始まった午前11時に65度±20度、3.5から5.5メートル、風向の変化が大きく風のむらもあって難しいコンデションになりました。男子のレース終了後に女子が始まり、15時に55度±10度、4から5メートル、16時45分、35度±10度、6から7メートル、17時55分、25度±10度、7から9.5メートル、これを要約すると、風向は時間の経過とともに東北東から北北東へ40度変化し、それに伴い風速も徐々に上がっていったということになります。

男子、第1レース、本部船寄りに20艇の集団ができ、その集団の風下に並びました。スタート直前、メインシートが突然ゆるんだのが見えたので、何かのトラブルかと思ったのですが、本人達はスタート4分前の号砲(音)がずれていた為、それに合わせたということでした。結果はメインシートを締めるタイミングが遅く出遅れのスタートとなりました。タッキングをして逃げ、スタートラインを切った時には30秒が経過していました。号砲(音)というのは、ルール上、あくまでも補助的なもので旗の上げ下ろしが優先されるという基本的なルールを忘れてしまったのは残念です。「音がずれていた」、これは音を鳴らすコミッティーの係が、失敗したと考えるべきでした。「機転を利かす」、セーリング競技では大変大切なことと言えます。
第1風上マークを21位で回航し、途中14位まで上がりましたが、第2風上マークに行く間に順位を落とし、フィニッシュは22位でした。

第2レース、スタートライン上に並んだ艇の真ん中、リミットマーク寄り、3分の1の所から出ました。フランス、アルゼンチン、クロアチアと世界のトップランキング艇の間に挟まれ、悪くないスタートに見えました。ただし最初のタッキングのタイミングを焦りすぎました。同時にタッキングしたアルゼンチンのホープレスとなり、再び逃げのタッキングをしなければならず、これでリズムを崩し、その後はコースの真ん中を内側、内側と走って、両サイドの艇に先行されてしまいました。それでも風上マークを11位、フィニッシュは9位となりました。

第3レース、男子のスタートが始まろうとした時、早めに出てきた近藤・田畑組は、そのスタートライン付近で男子のポートタック艇と接触し、ミジップのガンネルに縦の亀裂が入る程のダメージを受けました。これに応急処置を施す為、男子のスタートを見ることができませんでした。後から聞けば、アウトサイドリミットマーク寄りの一番手を狙い、スタートしたところ、ポートスタートを狙った艇に風下でタッキングされ、苦しくなってタッキングしたとのことでした。次に自分達の右から出て来た艇の風下で受け、左展開となったところ、右の振れをつかんだ艇に前を走られてしまったとのことでした。スタート直後、右に出て行けば良かったのを、数艇の後ろを通過することを嫌った為に、スタート時点の左振れの風を有効に生かせなかったようです。このレース、スタートラインの中央から出た松永・今村組が素晴らしいコース取りをして風上マークをダントツで回航しました。その後も2位の集団に追いつかれること無く、余裕のトップフィニッシュになりました。原田・吉田組のフィニッシュは13位でした。

男子の3レース目が終了するのを待って、15時27分、3回のゼネラルリコールの後、4回目にブラックフラッグで女子がスタートしました。本部船寄りの真ん中から無難にスタートし、風上マークを5位で回航しました。風下マークでは4位に上がりましたが、二回目のクローズホールドで順位を落とし、フィニッシュは12位、失格艇が3艇あった為に11位の順位がつきました。クローズホールドのコース取りで、必要であればコースの端に出るくらいの思い切りが欲しいところでした。集団の内側で受けるだけでなく、もう少し、風の強さと方向に応じてコースをとれば良かったと思います。艇のダメージは大きかったのですが、通常のセーリングで、水が入らなかったのは不幸中の幸いでした。

第2レース、少し風速が上がってきました。ブラックフラッグのスタートで、ラインの中央から出たのですが、出た位置が凹んでいたと思われます。ホープレスにはなりませんでしたが、風上マークに近づくにつれ、コースの両端から寄せてくる艇団に呑みこまれる形になりました。さらに風上マーク手前250メートルの所でスターボード艇を避けさせるケースを起こし、720度回転をしました。風上マークを回航した時には後ろに3艇しかいない状態になっていました。風速が上がってきて、マストのチューニングが合っていなかったこともあるのでしょうが、精神的な動揺が加わったのでしょう、順位を上げること無く36位でフィニッシュしました。

第3レース、ブラックフラッグのスタートで本部船寄り10番の位置から出て左に伸ばしました。風速が上がってきてのチューニングもぴったりだったのでしょう、また、この風速域のスピードはメデンブリック入りしてから冴えていました。良いスピードと上り角度で走り、風上マークをほぼダントツで回航しました。ランニングで追いつかれ、差は縮まりましたが第2風上マークもトップで回航しました。最後のランニングで3位に落ちはしましたが、リーチングで一艇を抜き返し、最終的に2位でフィニッシュしました。

スタートの失敗、風を見極められなかったことによる思い切りの無いコース取り、スタート前の接触による艇のダメージ、ポート・スターボーの720度回転、アビームチームの男女2艇にあったマイナスの出来事です。
両艇共に事前の練習でスピードにある程度自信を持って臨んだ初日でした。もう少し、しっかり走れば・・と、ため息が出ます。しかし、ありきたりの言い方になりますが、レースはまだ初日、走りに遜色ないことを盾として、攻める気持ちを前面に出し、そして冷静に戦ってほしいと願っています。

かつて、メデンブリックのレースは、町の運河沿いに艇を置き、運河を通って出艇しました。多くの日本選手の思い出の詰まった運河の風景は、私の先輩たちがここに来た頃から変わっていないのではないでしょうか。アイスル湖を周航する帆船の姿とレガッタオフィスに使われた建物を懐かしく思い出されるに違いありません。


デルタロイドレガッタ2010 公式サイト
http://www.hollandregatta.org/