2010年 イエールオリンピックウイーク (フランス・イエール) 報告 4月26日 大会2日

小松 一憲
朝から快晴、そして凪ぎ、判で押したような同じ天気が続きます。ただし今日は、気温が26度にもなるとのことで、昨日以上のシーブリーズが期待されました。ところが風速の予報は、1から2メートル弱く出ていました。
マヨルカ島とマルセイユに続き、地中海での3試合目、晴れた日の朝の定番とも言える風待ちですが、すっかり慣れました。昼過ぎの13時20分まで陸上で待機し、南西から吹いてきた3メートルのシーブリーズで出艇しました。

風向215度、風速2メートル、14時32分、男子のイエローリボングループ(45艇づつの2グループに毎日組み分けされ、イエローとブルーのリボンをマストトップに付ける)からスタートしました。このグループにはスリーボンドチームの松永・今村組がいて、アウトサイドリミットマーク寄りからまずまずのスタートしました。すぐにタッキングし、右へ展開、きれいに風を拾いながら第1風上マークを3位で回航しました。その後の走り、コースの選択、共に良く、2位でフィニッシュしました。

10分後に原田・吉田組及び日本から3日前に到着し、参加がやっと間に合った市野・吉見組のブルーリボングループがスタートしました。原田・吉田組は本部船横2番手でスタートし、すぐにタッキングをして、右に展開しました。2分30秒ほど走ったところで、右からのパフに対応し、タキングをしてコースの中央へ寄せて行きました。
右から断続的に入る角度の良い風をつかみながら第1風上マークに向かう集団と左に見えていた風のラインに入って風上マークに向かおうとする集団に分かれました。第1風上マークは、右からの風を小刻みにつかみながらマークに近づいた集団に軍配が上がり、原田・吉田組は4位で回航しました。風下マークで2位まで上がりましたが、2回目のクローズホールドで3位に後退し、その後、順位に変動なくフィニッシュしました。

風向が右に20度振れ、コミッティーがコースチェンジをしかけたところ、左に振れ戻ったり、一時的に1メートル有るか無しかの風速に落ち、いつ中止されてもおかしくないコンデションで男子のレースが行われました。その間、女子はなかなかスタートできず、結局、男子のレースが終わるまでずっと待つことになりました。
マークを225度にセットしなおし、3メートル弱の風の中、16時04分にスタートしました。

近藤・田畑組は、アウトサイドリミットマーク寄り10番手に並んだのですが、凹んでいたのでしょう、スタート後すぐに逃げのタッキングをしてスターボード艇を避けながら集団の真ん中に出て行きました。始めは左方向に展開する方針でスタートラインのアウトサイドリミット寄りを狙ったのでしょうが、苦しい展開となりました。
第1風上マークをトップで回航したのは、アウトサイドリミットマーク寄り1番から出て左奥まで伸ばしたイスラエルで、続いて2位は同じく左に伸ばした吉迫・大熊組でした。
近藤・田畑組の風上マーク回航は16位、トップと大きく差が開いていました。スタートで失敗すると、風上マーク回航は良くて15位と相場が決まっています。
ただし、今日の近藤・田畑組は落ち着き、しかも粘りを発揮しました。走りも良く、風向も変化していたのでしょう、その変化をうまくとらえて、第2風上マークで9位に浮上してきました。またランニングのコースに入り、うまいタイミングでジャイビングをし、風下マークで一気に4位に上がってフィニッシュしました。女子は、この1レースだけで、今日のレースを終了しました。

男子の第2レース、ブルーリボングループは16時22分にスタートしました。原田・吉田組はアウトサイドリミットマーク寄りに集まった集団の中、20番の位置で良いスタートをしました。この位置の混雑した集団の中から出るスタートでは、スペースの作り方も含め、これまで見た事が無いほど、素晴らしいスタートでした。心配になりOCS艇のリストアップを確認しに行ったほどです。風上マークの上位回航は間違いなく、トップで来てもおかしくないと思いました。しかし、左の奥の奥まで伸ばした彼等のコース取りは、けして誉められるものではなく、「強引」の一言につきます。風上マーク回航はなんと26位、開いた口がふさがりませんでした。後から聞けば、コース中央に寄せるチャンスは何度もあり、全艇の前を切るチャンスもスタートしてすぐにあったとのこと、なぜ丁寧にセオリー通りのタクティクスで走らなかったのでしょうか、まったくもって残念です。その後は見えるものも見えなくなり、考えられることも考えられなくなる、彼等なりに動揺したのでしょう。第1マーク回航以降、浮上することなく、フィニッシュは27位でした。

悪いスタートをしながら4位でフィニッシュした近藤・田畑組と、これまで私の記憶に無いぐらいの良いスタートをして、27位となった原田・吉田組、この明暗を分けたのは、いったいなんだったのでしょう。マルセイユの後半戦からコース取りがしっくりせず、もがいていた近藤・田畑組と、スタートが良くなり、スピードにもそれなりに自信を持ち、トップを取ることに大きな感激も無くなりつつある原田・吉田組の違い、繰り返しになりますが、私はレーシングテクニックの「丁寧さ」、言い換えれば「セオリーを守る」ことにあったと考えます。

自分の艇にスピードが無い時、自分に自信の無い時、「思い切りの悪い」コース取りやタクティクスが目立ちます。スピードや自信が出てくると「強引」になってくる。これは何もセーリング競技に限ってのことではなく、選手に限ってのことでもないでしょう。
私自身も常に戒めとして胸に刻んでおかなくてはならないことだと思います。

明日は、予定のスタートを1時間早めてレースが行われます。私達は1レースでも多く経験し、勉強したいと願っています。「レースを少しでも多く」、関わる人、全てが同じ思いでいるのかもしれません。あとは、コートダジュールの風の神様に祈れば良いのでしょうか。