2010年 スプリングカップ(マルセイユ) 報告 4月15日 大会2日

小松 一憲

晴天が続いています。生活のリズムを崩さないことが、怪我、病気、事故無く遠征を続ける基本と考え、毎朝、チームとして行動する時、6時30分から約40分の散歩レベルのウオーキングをしています。国内外を問わず、大雨の日を除いて欠かさず続けるのですが、晴天の日の地中海沿岸、澄んだ空気の夜明け前の空は、群青色とでも表現するのでしょうか、それはそれは見事です。

早朝は雲一つ無い快晴、日が高くなるにつれ、北側の山に白い雲が出現し、時間の経過とともにその雲が海の上に薄く広がります。雲は断続的に左から右へと流れ、やがて消滅します。この流れと風向、風速の変化が関連しているのでしょうか、壁のように突き出た岩山の岬の影響もあり、風向の振れ幅、風速のアップダウンがとにかく大きいのです。それが今日吹いたマルセイユの南東の風の特徴と言えるかもしれません。付け加えて、変化の幅の大きさもさることながら、ゆっくりした周期にも特徴があります。

風速は、スタート前の12時に6から7.5メートル、ゼネラルリコールを2回繰り返している時間帯の12時40分は4から6メートルに落ち、最終的に第1レースがスタートした13時13分、6.5から8.5メートルへと変化しました。風向は160±15度、時たま20度変化することもありました。さらにこの風は、第2レースの15時ごろにMax9.5メートルまで上がり、第3レースが行われた17時近くなって4.5から5.5メートルへと落ちました。マストチューニングをどの風域に合わせるのか、風上マークまでのコースプランをどのようにたてるのか、断続的な風にどのように対処してランニングを走るのか、大変難しいコンデションだったことは確かです。

第1レース、本部船の横を狙ってはじき出され、1分間に3回巻き返し、最後の5秒で一艇分空いた隙間から何とかスタートをした近藤・田畑組でしたが、右から入ったパフに上手に対応し、第1風上マークを3位で回航しました。最終風下マーク、回航直前まで順位をキープしていましたが、回航は一艇に内側を取られて4位、リーチングでスピンハリヤードがカムクリートから滑るトラブルが発生し、6位に落ちてフィニッシュしました。男子のトップ選手と互角に渡り合ったクローズホールド、風が安定して吹いている中でのランニングの走り、共に大きな自信になったことでしょう。ただ残念というか、近藤・田畑組の課題、鎌田選手と組んでいた時代から考えると近藤選手の課題と言えるのですが、風下マーク際、フィニッシュ間際の攻防に詰めの甘さがあります。性格の弱さと言ってしまえばそれまでですが、これを克服することでもうワンランク勝負強いチームに変身することができると思います。
原田・吉田組は、本部船寄り、20番の位置から出ました。しかし、ブラックフラッグの上がっていたスタートで、その位置は全体的に凹んでいたかもしれません。また右からパフが入りだしたということもあり、コースの中間を窮屈そうに走っていました。風上マークは19位、その後、追い上げて10位でフィニッシュしました。

第2レース、原田・吉田組は本部船横、10艇の位置で待っていましたが、スタート前10秒でニュージーランド艇に風下に入られ、苦しくなりました。右に少し逃げて再び左にコースをとったのですが、第1風上マークの回航は14位となり、トップはニュージーランドでした。このレースは、その後、あまり追い上げることができず、11位でフィニッシュしました。
近藤・田畑組は、このスタートでも第1レース同様、本部船横を狙いました。しかし今回は、最後まで本部船の横にスペースができず、4秒ほど遅れてやっと出ることができました。狙いとしては、初心者やスタートに不慣れな選手のよくやる、あまり誉められないスタートになりました。それでも風上マーク回航は、原田・吉田組と、それほど変わらない16位でした。しかし、その後、徐々に順位を落とし、フィニッシュは27位、特にランニングのコースで順位を失いました。

第3レース、近藤・田畑組は、第2レースとよく似たスタートになりました。コースの右半分に強めに吹いている風が見えたことで、多くの艇が本部船横に集まりました。たまたまにせよ、良い形で出れた第1レースの成功の残像が、頭から離れなかったのでしょうか。そのポジションを狙って成功する確率が高いのは、風が強い時と潮流がスタートラインと平行に右から左へと流れている時だけです。いずれにせよ本部船横の一番狙いの出遅れスタートは誉められません。
風上マークを15位で回航し、フィニッシュ手前で10位に上がりましたが、最後の最後に3艇に抜き返され鼻の差で13位となりました。
原田・吉田組は、アウトサイドリミットマーク寄り3番手で、良いスタートをして左に伸ばしました。スタートの出方は良かったのですが、コースを見渡して右半分に入ってきていた風を無視し、左を狙ったのであれば、強引なタクティクスと言わざるをえません。結果として風上マークの回航は、近藤・田畑組より悪い19位、フィニッシュも17位と追い上げることはできませんでした。
このレース、落ち着いてしっかり走ったのは、松永・今村組でした。第1風上マーク17位から始まって、7位でフィニッシュしました。

難しいコンディションだったことは確かです。その証拠に、5レーストータルでトップテンの成績を見ると、今日の3レースのうちの一つを、最も悪い点数としてカットしているケースが目立ちます。しかし、難しいからこそでしょう、トップテンの上位に名前を連ねているのは、いつもの顔触れです。「風向変化を予測する力」、「風速変化に走りながら対応し、スピードを維持する力」、「スタートやコース取り、マーク周辺で戦術を駆使する力」、「不測の事態に冷静に対処する力」、などなど、「経験」と一言では片付けられない、力の差が存在しているのかもしれません。
だからと言って、引いてしまうのであれば、この競技から「引退」すべきです。選手として自分自身の成長の可能性を信じ、考えられる全ての努力を真摯に続けることが大切で、活路はその一点にしか無いと考えます。