2010年 プリンセスソフィア 報告 大会4日 3月31日 スペイン・マヨルカ

小松 一憲
昨日の強風が夜のうちにピタリと止み、朝は一転して無風となりました。10時から北寄りの風が吹き出し、レースはスケジュールの25分遅れ、11時25分に開始されました。風向340度±15度、風速は7・5から11・5メートルに吹き上がりました。しかし女子がスタートする頃から徐々に落ち、一時間後にはMax5メートルになっていました。さらに男子のゴールドフリートがフィニッシュした13時には風向260度、風速1メートルあるかなしかとなり、最後は艇を強制的に左右に揺らして走るロッキング競争となりました。これを要約すると、3時間の間に無風から強風、そして無風、風向は90度振れ、その中で女子、男子シルバー、ゴールドの3フリートのレースが行われたことになります。良くできたと感心しますが、良いレースだったかどうかは、特に男子ゴールドフリートに関しては疑問符が付きます。
その後、海上で風を待つこと約3時間、15時55分に第2レース、そして17時25分に第3レースが開始され、風向240±10度、風速4から6.5メートルのコンデションで実施されました。

第1レース、近藤・田畑組は、スタートライン上に均等に散らばったスタートで、リミットマーク寄り3番手の位置から出ました。位置取りやタイミングに問題は無かったのですが、登り角度が悪すぎました。風速が8メートルに落ちていたところを、風速11メートルオーバーのチューニングで走ったのです。スタート直前になって、風速が変化したこともあり、チューニングを合わせきれなかったのは彼女たちだけでは無かったと思います。しかし、二人の場合は、それが大きすぎました。
むしろ良く走ったと言えるかもしれません。スタート後48秒走って苦しくなり、タッキングをしました。風上マークの回航は18位、第1風下マークでは12位に上がり、フィニッシュは14位でした。自分達の前に入った2艇がリコールをしていたので、成績は12位となりました。

第2レースは、一回のゼネラルリコールの後、ブラックフラックが掲揚され、本部船の横2番手から良いスタートをしました。風上マークを3位で回航し、最後のランニングで前を走る2艇を抜き、トップでフィニッシュしました。思い切りの良いスタート、風向変化に対応したランニングのコース取り、戦う気持ちを前面に出した良いレースでした。

第3レースは、本部船寄り7番で、塊りの中から出ました。風上のオランダ艇にひるむことなく、しっかり位置取りをし、メインシートを絞って出て行きました。第2レースに続き、文句の無いスタートでした。第1風上マークを7位で回航し、第2風上マークは4位に上がりました。最後の風下マークのルームの取り合いで5位になったということですが、クローズホールド、ランニング、いずれの走りも見劣りせず、自信になったことでしょう。さらに良くする手立てとして、タクティクスにアグレッシブさを発揮できるようになることを期待します。

男子、第1レース、スタートライン上に均等に散って並んだ艇のリミットマーク寄り、約4分の1の位置で、スタート15秒前から2列目に追いやられました。凹んだ状態が続き、スタートの時点でもそこから抜け出せず、10秒もかけて逃げのタッキングをしました。ダメならダメでもっと早く手を打つべきでした。自分達の右に並んでいたスターボード艇の全艇の後方を通過して右海面に出て行きました。このようなスタートをしていては、第1風上マーク回航は良くて30位、40位台になってもおかしくありません。案の定、風上マークの回航は30位でした。その後、風が左に振れていくと予測したのでしょう、海面の左側をうまく走って第2風上マーク20位、風下マーク11位、フィニッシュ10位と追い上げました。

第2レース、第1レース同様、リミットマーク寄りの10番目に並んでスタートしました。しかし、またまた出遅れ、失敗スタートとなりました。昨日までの成績で上位50艇で作られたゴールドフリートですが、スターボード艇を避けながら右に出て行く時点で限りなくビリの位置になっていました。ところが、右サイドに出て行ったところ、好運なことに15度ほど振れた風が入り、一気に劣勢を挽回し、第1風上マークを4位で回航しました。次に風下マークを7位で回航するところで、有ろう事か、よもやのマークタッチ、インナーのコースで後ろに大集団が迫ってくるなかでの360度回転でした。その集団に吸収され、第2風上マークは17位まで順位を落としましたが、フィニッシュは15位でした。
第1レースに次ぐ弱気の失敗スタート、加えて練習中なら風下マークを1000回、回航したとしてもマークに接触することはないでしょう。大チョンボです。何を熱くなっているのでしょう。そして何を恐れて、尻込みしたようなスタートをするのでしょう。原田選手の胸の中の問題なのです。「何か悪いことをしようとしているのか?誰にけっ飛ばされると言うのか?誰に殴られると言うのか?もっと強い気持ちを持って!戦う気持ちを前面に出して!頭を冷やして視野大きく持って!」と、私はいつもながらの言葉をかけるしかありません。

第3レース、私が女子のレースを追いかけてスタートラインを離れた少しの間にスタートしてしまいました。スタートした直後の原田・吉田組を捜すのに艇団の後ろからポットタックで出てくる艇を見たのですが、なかなか見つからず、前のほうに目をやるとトップの位置で走っているではありませんか。さっそく本部船に行ってリコール艇がリストアップされている黒板を見たのですが、彼らのナンバーは無く、そこで初めて彼らがアウトサイドリミットマーク寄りから良いスタートをしたのだということが想像できました。あとから聞けば、3番手の位置から積極的に出たとのことでした。第1風上マークをトップで回航し、フィニッシュまでそのトップを守り切りました。人間が変わったのではありません。道具(艇)が変わったわけでもありません。原田選手の胸の中が少し変化しただけなのです。

昨年の勢いをそのまま発揮すれば、今年は最初から、かなりのハイペースでいけると思っていました。しかし日本で半年を過ごすうちに、知らず知らず、普通目にする日本人選手らしい戦いぶりになっていました。残りのレースをチャレンジ精神旺盛に戦って、ヨーロッパにおけるこの初戦で、グローバルに存在感のあるチームへと脱皮してほしいと願っています。