2010年 プリンセスソフィア 報告 大会2日 3月29日 スペイン・マヨルカ
2010年03月30日 | コーチの声
![]()
地中海の空と海が青く澄み、朝は無風、11時にそよそよとシーブリーズが入り、昨日と同じような天気と風のパターンになりました。今日から11時にスタートするスケジュールになっていましたが、陸上待機を11時までしたのち出艇しました。
女子の第1レースは12時30分に開始しました。風向175±10度、風速4から5.5メートル、マークセットは170度、昨日、納得できなかったスピードでしたが、今日はマストチューニングを変え、その結果がどう出るか楽しみでした。
一回のゼネラルリコールの後、本部船の横2艇目から助走をつけ、スピード良くスタートしました。本部船の横から出たのは2艇のみ、残りの38艇は、コースの左狙いを優先し、本部船側にラインが有利に傾いているにもかかわらず、アウトサイドリミットマーク寄りからスタートしました。近藤・田畑組は、ほぼ全艇を風下に見ながら左海面へと伸ばしました。走りも良く一度も自分達の前を横切る艇は無く、風上マークまで2回のタキングで到達し、トップで回航しました。2番に回航した艇との差は2秒だったのですが、その後、徐々に差をつけ、25秒に広げてトップフィニッシュしました。微風のマストチューニングに方向性を見出すことができ、久々に胸のすくような走りを見ることができました。
第2レースは、コースが200度にセットされ始まりました。セットする作業の間に風速が平均で1から1・5メートル落ち、スタートの時点で2・5から3.5メートルの風速となっていました。近藤・田畑組は第1レース終了後、チューニングを昨日までのものに戻し、さらにスタート直前、第1レースの状態に戻そうとしたようです。ところが、時間が押してきて完全に戻しきれずにスタートしたと、あとから聞かされました。結論を言えば判断が遅かったのです。近藤選手によく見られ、これまで幾度となく注意をしてきた行動パターンです。風速をぎりぎりまで見極めようとしていたことは、わからなくもないのですが、もっと走りを良くしたいという気持、新しい試みへの不安、私のアドバイスに対する不信感もあるかもしれません、過去の経験とスピードに対する自分のイメージ、それらが交錯し、判断が引き延ばされ、ついついスタート直前の行動(チューニングを変える作業)に出てしまうのでしょう。スタート前は落ち着いてスタートの出方をはじめ、ヨットレースに必要なことを考え、集中する時間帯にしなければなりません。ヨットレースはわずかなチューニングの差だけで決まるものではないからです。
アウトサイドリミットマーク寄りに集まった艇団の約3分の1のところからスタートし、それほど悪くないと見受けられたのですが、風上マークの回航は16位、フィニッシュは17位でした。レース中チューニングを変えきれなかったことが頭を離れず、スピードに違和感を持ちながらセーリングしていたのかもしれません。
男子は第1レースの女子のスタートを見ていたのでしょう、本部線寄りに集団ができました。その塊の中で原田・吉田組は風下に位置するオーストラリアの選手と並ぶ形でスタートしました。結果はメインシートの絞り遅れの出遅れ、塊の中を3回のタキングで出て行き、ようやくごちゃごちゃの中から脱出し、左に伸ばしかけたところで目の前でタキングされてしまい、しかたなくタキングで逃げて右方向へと展開していく、誰もが何度も経験する、本部線寄りから出た時の失敗スタートです。スターボード艇を避けて風下に落とす、乱された風の中での3回から4回のタッキング、外から見ているとスタートしたのにラインからほとんど遠ざからないのです。
塊の中から出ると判断したのなら、その時点で強い気持ちでメインシートを引いて出て行くと、度胸を決めなくてはなりません。リコールの危険はもちろんのことです。風上マークは25位、そこから追い上げて16位でフィニッシュしました。
第2レースは一回のゼネラルリコールの後ブラックフラッグのスタートとなりました。ライン上に均等に散らばった艇の中央、スタートラインのほほ真ん中からスタートしました。ここでもメインシートの絞り遅れ、そして出た位置も全体に凹んでいたのでしょう、タキングして逃げて右に出て行くあいだ、彼らの後方を通過したのは1艇しかありません。ということは、スタート直後の時点で、ほとんどビリだったということになります。風上マークは25位、フィニッシュは22位でした。
第3レースは一回のゼネラルリコールの後、ブラックフラッグのスタートとなりました。10度ほどアウトサイドリミットマークが有利だったとみえ、大多数の艇が左に寄って並びました。無理に有利なポジションから出ることを避け、できた列の右から約3分の1の位置で時間を待ち、号砲と同時にタッキングする戦法をとりました。狙い通りのきれいなスタートでした。大半の艇が号砲と同時にタッキングを返し、バウ先が一列になったのですが、その列からスピード良く1艇だけ抜け出して行きました。風上マークは、左海面を走ってきたスペイン艇に次ぎ僅差の2位で回航しました。最後まで差は変わらず2番でフィニッシュしました。ところがスペイン艇は早すぎるスタートをしていたのでしょう、失格となり、このレース、1位となりました。
近藤・田畑組、原田・吉田組、共に待望の1位をとりました。風速2・5から5メートルのコンデションで、昨日実感したスピード不足を克服する糸口が見つかりました。レースをして見えた課題を克服すべく、工夫し、修正し、挑戦する。解決策を確実なものとする為に練習する。課題克服の糸口を見つけることができた時、それは選手としてたいへん嬉しい出来事で、楽しさを感じる時でもあります。また勇気の湧く出来事でもありましょう。
