2010年03月 アーカイブ

小松 一憲
朝から南西の強風が吹き、夕方5時に470級のレースは行わないと、決定されました。
一昨年から大会期間中、毎年一日、同じような強風が吹きます。一昨年そして昨年と、二年続けて一日中風が落ちるのを待ち、午後6時ぐらいからレースを行ったように記憶しています。
コンピューター時代になって、世界各地、どこに行っても天気予報を簡単に見ることができるようになりました。しかも、その精度は驚くばかりです。三日も前から今日の強風は予報されていました。その予報によれば、明日はまた風が落ちるようです。
1レースがとても貴重な勉強の機会であり、日本から来るには、それなりのお金も時間も使っています。風のコンデションだから仕方無いのは解っているのですが、予定されているレースの数が少なくなるのはとても残念です。明日からまた元気全開でチャレンジします。

小松 一憲
地中海の空と海が青く澄み、朝は無風、11時にそよそよとシーブリーズが入り、昨日と同じような天気と風のパターンになりました。今日から11時にスタートするスケジュールになっていましたが、陸上待機を11時までしたのち出艇しました。

女子の第1レースは12時30分に開始しました。風向175±10度、風速4から5.5メートル、マークセットは170度、昨日、納得できなかったスピードでしたが、今日はマストチューニングを変え、その結果がどう出るか楽しみでした。
一回のゼネラルリコールの後、本部船の横2艇目から助走をつけ、スピード良くスタートしました。本部船の横から出たのは2艇のみ、残りの38艇は、コースの左狙いを優先し、本部船側にラインが有利に傾いているにもかかわらず、アウトサイドリミットマーク寄りからスタートしました。近藤・田畑組は、ほぼ全艇を風下に見ながら左海面へと伸ばしました。走りも良く一度も自分達の前を横切る艇は無く、風上マークまで2回のタキングで到達し、トップで回航しました。2番に回航した艇との差は2秒だったのですが、その後、徐々に差をつけ、25秒に広げてトップフィニッシュしました。微風のマストチューニングに方向性を見出すことができ、久々に胸のすくような走りを見ることができました。

第2レースは、コースが200度にセットされ始まりました。セットする作業の間に風速が平均で1から1・5メートル落ち、スタートの時点で2・5から3.5メートルの風速となっていました。近藤・田畑組は第1レース終了後、チューニングを昨日までのものに戻し、さらにスタート直前、第1レースの状態に戻そうとしたようです。ところが、時間が押してきて完全に戻しきれずにスタートしたと、あとから聞かされました。結論を言えば判断が遅かったのです。近藤選手によく見られ、これまで幾度となく注意をしてきた行動パターンです。風速をぎりぎりまで見極めようとしていたことは、わからなくもないのですが、もっと走りを良くしたいという気持、新しい試みへの不安、私のアドバイスに対する不信感もあるかもしれません、過去の経験とスピードに対する自分のイメージ、それらが交錯し、判断が引き延ばされ、ついついスタート直前の行動(チューニングを変える作業)に出てしまうのでしょう。スタート前は落ち着いてスタートの出方をはじめ、ヨットレースに必要なことを考え、集中する時間帯にしなければなりません。ヨットレースはわずかなチューニングの差だけで決まるものではないからです。
アウトサイドリミットマーク寄りに集まった艇団の約3分の1のところからスタートし、それほど悪くないと見受けられたのですが、風上マークの回航は16位、フィニッシュは17位でした。レース中チューニングを変えきれなかったことが頭を離れず、スピードに違和感を持ちながらセーリングしていたのかもしれません。

男子は第1レースの女子のスタートを見ていたのでしょう、本部線寄りに集団ができました。その塊の中で原田・吉田組は風下に位置するオーストラリアの選手と並ぶ形でスタートしました。結果はメインシートの絞り遅れの出遅れ、塊の中を3回のタキングで出て行き、ようやくごちゃごちゃの中から脱出し、左に伸ばしかけたところで目の前でタキングされてしまい、しかたなくタキングで逃げて右方向へと展開していく、誰もが何度も経験する、本部線寄りから出た時の失敗スタートです。スターボード艇を避けて風下に落とす、乱された風の中での3回から4回のタッキング、外から見ているとスタートしたのにラインからほとんど遠ざからないのです。
塊の中から出ると判断したのなら、その時点で強い気持ちでメインシートを引いて出て行くと、度胸を決めなくてはなりません。リコールの危険はもちろんのことです。風上マークは25位、そこから追い上げて16位でフィニッシュしました。

第2レースは一回のゼネラルリコールの後ブラックフラッグのスタートとなりました。ライン上に均等に散らばった艇の中央、スタートラインのほほ真ん中からスタートしました。ここでもメインシートの絞り遅れ、そして出た位置も全体に凹んでいたのでしょう、タキングして逃げて右に出て行くあいだ、彼らの後方を通過したのは1艇しかありません。ということは、スタート直後の時点で、ほとんどビリだったということになります。風上マークは25位、フィニッシュは22位でした。

第3レースは一回のゼネラルリコールの後、ブラックフラッグのスタートとなりました。10度ほどアウトサイドリミットマークが有利だったとみえ、大多数の艇が左に寄って並びました。無理に有利なポジションから出ることを避け、できた列の右から約3分の1の位置で時間を待ち、号砲と同時にタッキングする戦法をとりました。狙い通りのきれいなスタートでした。大半の艇が号砲と同時にタッキングを返し、バウ先が一列になったのですが、その列からスピード良く1艇だけ抜け出して行きました。風上マークは、左海面を走ってきたスペイン艇に次ぎ僅差の2位で回航しました。最後まで差は変わらず2番でフィニッシュしました。ところがスペイン艇は早すぎるスタートをしていたのでしょう、失格となり、このレース、1位となりました。

近藤・田畑組、原田・吉田組、共に待望の1位をとりました。風速2・5から5メートルのコンデションで、昨日実感したスピード不足を克服する糸口が見つかりました。レースをして見えた課題を克服すべく、工夫し、修正し、挑戦する。解決策を確実なものとする為に練習する。課題克服の糸口を見つけることができた時、それは選手としてたいへん嬉しい出来事で、楽しさを感じる時でもあります。また勇気の湧く出来事でもありましょう。

小松 一憲

本日(28日)よりプリンセスソフィアが始まりました。22日にマヨルカ入りし、順調に練習もこなし今日に備えてきました。プリンセスソフィアは、今年も参加艇が多く大変賑わっています。470級男子だけで100艇もの参加があります。温暖な地であること、コンスタントな風に恵まれること、宿泊施設がふんだんにあることなどが、その理由にあげられるでしょう。加えてレース運営がしっかりしていていること、表彰式は古いお城を使いスペイン王女が臨席することも魅力なのかもしれません。

27日より始まった受付と計測の締め切りが28日12時となっており、初日のレースは14時に開始されました。朝のうち凪いでいた快晴の海にシーブリーズが11時頃から吹き出し、今日の天気予報、南西の風が2から4メートルと予報通りの風向風速になりました。南西の風と表現されていますが、実際は180度から210度の振幅を持ち、15分程度の周期で緩やかに振れていました。

南西に向かって開けた湾の左の沖に470級のコースが設定され、定刻に女子がスタートしました。風上マークは180度、スタートラインは約400メートルと長く、本部船有利に設定されていました。その本部船寄りにできた艇団の風下、左から7艇目でスタートしました。スタートの狙いからコースの左側を使う作戦と見受けられました。スタートは悪くなかったのですが、この時すでに右からの風が入り始めていました。空の雲は右側に薄く広がり、左は青空、私には、コースの右側に風があるように見えました。今朝、2年前のプリンセスソフィアの報告を読んで参考にするように、と指示したのですが、そこに私が書いていたのは「シーブリーズの吹き出し方と左側の海面を使ってのコース取りが成功していた」ということでした。これが左狙いの根拠になったとしたら、読んだことがむしろマイナスになったと言えます。どんな時も、その時に見た海面の観察を優先すべきです。それも自分の目で見て判断したものでなければなりません。気象予報、潮流など、あらゆる情報に関して同じことが言えます。参考にしてもうのみにせず、自分の目で確かめることが大切です。

コースの真ん中を風の振れに対し逆に走ることが多かったのでしょう、風上マークの回航は、なんとビリ2番、目を覆いたくなる順位でした。追い上げようにも先頭集団からは大きく遅れ、フィニッシュは33位でした。

第2レースは、マークの打ち変えが行われ、スタートラインも風向190度に対し、ほぼ直角に作られました。風速はスタートの時点で3・5メートル、後半は2メートルまで落ちました。スタートラインに均等に散らばった艇の左から7番目でスタートしました。スタートの狙いも出方も悪くなく、左に伸ばしました。少し左に振れてきたところでタッキングをし、スターボード艇の前を通過してコースの中央に出ようとしたのですが、いまひとつ走りにスピードが無く前に出て行くことができません。タッキングするポイントも風の振れに対して早く反応し過ぎているようにみえました。我慢して突っ込んだ両サイドの艇に前を走られる場面が目立ちました。風上マークを13位で回航したのですが、風速が落ち、スピンを張れないほどに左に風が振れてタイトになったリーチングで、順位を落とし、このレースも22位と、これまであまり見ることのない順位でフィニッシュしました。

男子は、50艇づつの2グループに分けられました。原田・吉田組はスタートラインの中央で艇の並びがまばらになったところから、少し凹んでいたと思われますが、危なげないスタートをして左に伸ばしました。走りも悪くなく風上マークを5位で回航しました。途中7位に落ちましたが、フィニッシュは6位、第1レースとしては、まずまずの順位です。

第2レースは、風向が変化し、コースチェンジが行われ、さらに中止されてもおかしくないほど落ちた風の中を女子がレースを続行しているところで、マークの打ち変えもできず、スタートさせられないと判断したのでしょう、16時30分にレースの後日延期の旗が揚がりました。

意気揚々と日本を発ち、ヨーロッパに来て迎えた初戦、「頭をを冷やせ」と叱りつけられたような気がしました。正直に言えば「もっと楽に勝てる」と思っていたのです。自分でも可笑しくなります。これが世界の舞台、武者修行の良さでもあります。今日1日で、このところ注意を払わなかった微風のチューニングについて考えさせられました。そして思い当たる事もありました。明日も弱い風の予報ですから、それをさっそく試し、修正できれば良いと考えています。日本で苦労せず勝っていては、ずっと見過ごしていたでしょう。この様にしてこれから約半年、遠征を続けて行きます。