2009年09月 アーカイブ

小松 一憲
朝のうち空を覆っていた雲が無くなり、10時頃から快晴になりました。それまで吹いていた弱い北風がさらに弱くなり、やがて凪となりました。
12時に470級男女、49er級、レーザー級及びレーザーラジアル級の5種目を除くすべての種目のメダルレースがキャンセルされ、すぐに昨日までの結果で表彰式がおこなわれました。
12時半、西南西から、そよそよと風が吹き出し、残りの種目が出艇しました。風速、3から4メートル、風向、250度で弱いながらも安定していました。防波堤内に作られた二つのエリアで470級男子と49er級のレースが開始しました。
女子のレースは、男子に引き続き行われ、14時25分にスタートしました。
近藤・田畑組は本部船の横から出て、すぐにタッキングして右に伸ばしました。はじめは良い景色に見えたのですが、コースの約3分の1を走ったところで、風が15度左に振れ、集団の左にいた艇の角度が一気に良くなりました。反対に右にいた近藤・田畑組が苦しくなりました。マーク近くで左サイドまで出て、少し盛り返し、風上マークを4位で回航しました。しかしマークの手前で、イギリスから風下でタッキングした近藤・田畑組に抗議が出て、それがジャッジによって認められ720度回転を強いられました。
二回目の上りのコースに入り、マークは20度ほど左に移動されたのですが、風は元の角度まで戻っていました。レースコミッティーによる、このコースチェンジは失敗でした。スターボードタックの一本コースになったのですが、二人は、ブロンズメダルの位置の7位を走っていました。フィニッシュの手前、約150mのところで、フランス艇と共にジャイブしました。そのまま並んで走っていれば問題なかったのですが、自分から列を外れた(守るべき場面で攻撃の行動にでた)為に後ろのアルゼンチンに先行され8位のフィニッシュとなりました。銅メダルも1点差でで逃し、この大会を4位で終えることとなりました。

今年3月からのヨーロッパ遠征で原田・吉田組は、8試合に参加し、結果は次のとおりです。
プリンセスソフィア(スペイン)  21位 
スプリングカップ(フランス)    4位
イエール(フランス)        5位
ガルダ(イタリア)         4位
デルタロイド(オランダ)      9位
ヨーロッパ選手権(オーストリア)  優勝
世界選手権(デンマーク)      3位
セールフォーゴールド(イギリス) 14位
メダルレースが実施された7レース中5レースに進出しました。
加えて悪いデーターも言えばスタートでの失格、BFD・2回、OCS・3回。
世界ランキングは春先の38位から8月19日現在20位、次の更新では10番台にランク付けされるかもしれません。

近藤・田畑組は5月から5試合に出場しました。
デルタロイド(オランダ)     優勝
ヨーロッパ選手権(オーストリア) 2位
キール(ドイツ)         3位
世界選手権(デンマーク)     8位 
セールフォーゴールド(イギリス) 4位

ヨーロッパ遠征を武者修行に例えるなら、行く先々で、様々な風や波のコンデションで戦い、特徴ある選手達と対戦してきました。
視野も広がり、注意深くなり、自信も付いて逞しくなりました。
これより日本に帰り、4名は自らを厳しく鍛え直し、来年の3月、再びヨーロッパの地に立つ時、ワンランク上の戦績を残すことを目標にします。

会社をはじめ、多くの皆様にご支援いただき、大きなけがや病気も無く、健康に、そして事故無く、2009年の海外遠征を締めくくることができました。
「どうもありがとうございました!」

原田 龍之介 & 吉田 雄悟
14日からイギリスで開催せれていたSail For Goldレガッタ、残念ながらメダルレースには出場できず14位で終わりました。今回も2日目にOCSを取ってしまい、それ以降のスタートで消極的になったことが敗因の一つです。先月の470ワールドでのBFDから2週間、絶対にリコールだけはしないと自分に言い聞かせて臨んだ大会だっただけに、とても自分に苛立ちを覚えます。

3月のプリンセスソフィアから始まったヨーロッパ遠征も、この大会が今年最後となり、その最終戦で結果を残せなかったのは本当に悔しく残念です。自分たちに足りないことや弱点があらわになり、今後の課題が明確になりました。今度トップ選手と手合わせできるのは来年の3月です。それまでに今回の課題を克服し、確実にレベルアップして戻ってきたいと思います。

計8大会に出場したヨーロッパ遠征、そのうち6大会でメダルレースを経験しました。海外レース初優勝もできました。昨年の成績からではとても考えられないほどの結果を残すことができ、私自身驚いています。世界の頂点を下から眺めるだけだった昨年とは違い、今年はその頂までもう一歩のところまできました。

この成績に驕ることなく更なるハードトレーニングに励んでいきます。
全ては3年後のここイギリスのために。

小松 一憲
どんよりした曇り空、最高気温17度、最低気温10度、一週間前の気温24度の快晴を地元の人達が「ラブリー!」と言っていたのが良く理解できます。

女子のレースは11時に、風向、70度、風速5・5から8・5メートルで開始しました。このコンディションが、男子の2レース目のスタート時間15時に、風向55度、風速4から6メートルへと変り。時間の経過とともに左へ振れ、風速が落ちて行ったことになります。潮流は、女子が強い向い潮の中で行われ、男子の2レース目は弱い追い潮になっていました。

近藤・田畑組の第1レースは、比較的すいていたアウトーリミットマーク寄りの1番から素晴らしいスタートをして左に伸ばしました。沖の方は、向い潮が強く、左の崖を考えれば、左で展開するのはセオリーだったと言えます。最初の小さなパフで右にタッキングを返しましたが、これが少し早すぎて、彼女達より左に150メートルほど伸ばしたイギリスが良い角度のパフをつかんで第1風上マークをトップで回航しました。近藤・田畑組は5秒差の2位で回航し、後続も4から5秒差で4艇続きました。トータルの成績、2位から6位までのチームで形成されたトップグループでした。イギリスが抜けて行って、一時は2位の近藤・田畑組に20秒の差を付けたのですが、第2風上マークで再び5秒差、2回目のランニングで近藤・田畑組が逆転してトップに立ちました。その後のクローズホールドとランニングでもトップを守りフィニッシュしました。

第2レースは、ラインの真ん中からスタートし、大半の艇と共に左の海面で展開、風上マークを8位で回航しました。第2風上マークで4位に上がり、そのは順位変わらず、フィニッシュしました。今日の1位と4位の結果、トップで明日のメダルレースに臨むことになりました。しかし2位まで上がってきた強豪オランダとは1点差、その後ろも僅差で並んでいます。

男子の第1レース、本部船寄り左10艇の所からまずまずのスタートをしました。第2レースも同じようなポジションから無難に出たのですが、後で見せてもらったビデオで確認すれば、どちらも全体に凹ん場所からのスタートでした。第1レースは左に展開し、第2レースは右展開からコース中央、さらに左端まで走り、風上マークに向いました。第2レースは、コース全体が風下から風上への追い潮になっていましたから、風の選択だけでタクティクスを取れば良いコンデションになっていました。第1風上マークをどちらも8位で回航し、第1レースは、4位まで上がりながら最後のランニングで順位を落とし7位のフィニッシュになりました。第2レースは、2回目のクローズホールドで風が左に振る傾向があったのを見逃し、右に強引に伸ばした結果、20位まで落ちました。最後は15位まで挽回してフィニッシュしましたのですが、メダルレース出場の10位まで合計10点足りず、14位でこの大会を終えることとなりました。
やはりレース序盤3レース目のスタートにおけるBFDの失格が、強風で中止され、レース数が少なくなったことも災いし、その後の彼等のレース全般の歯車を狂わす結果になりました

近藤・田畑組は、この大会の第1レースの17位を捨てレースにし、フリートレースの最終日にトップを取るという、しぶといレース運びをしました。これまでの近藤選手であれば、北京オリンピックの初日のつまずきが象徴しているように、重苦しいムードを払拭することができず、引きずったままレースすることが多かったように思います。この反発力の原動力は、田畑選手の経験もさることながら、「はきはきとした元気よさと明るさ」によるものと考えています。彼女の加入により、男子も含めアビームチームの日常のムードも転換しました。

メダルレースは、マッチレース的な性格を持っています。強い気持ちを前面に押し出し、引くことのないよう、アグレッシブで賢いレースを見せてくれることを願っています。

小松 一憲

朝晩、すっかり寒くなり、秋が一段と深まりました。

今日は朝から晴れ、パソコンでチェックした天気予報通り、風向と風速の変化もピタリと当たっていました。
9時45分、11時のスタートに合わせてハーバーを出艇します。そのころは北東の風が10から12メートル吹いていました。これがスタート時には50度、8から10メートル、第2レース、12時33分、55度、6から8メートル、女子の第2レースの始まった15時15分、65度、5から6メートル。時間の経過と共に風は北東から東北東へと変化し、風速も平均で9メートルから5メートルまで落ちました。潮流は70度方向から弱い時で0.3、強くても0・8ノットでした。

ウエイマスの風向と風速の変化を予測したマストチューニング、風向と陸地と潮流の関係を考慮したコース取り、ここでの戦い方に、セオリーと言うかパターンがあるように思われます。そう考える根拠は、二つ有るのですが今は申し上げられません。
オリンピック本番まであと2回、ここウエイマスでレースを経験します。ここに「慣れる」ということは、この地での戦い方の「不文律」なるものを各選手なりに作り上げることではないでしょうか。私の長すぎる、この報告も選手へのメッセージと私自身が戦いを記憶し、不文律を作り上げる拠り所になれば良いと、期待を込めて書いています。

原田・吉田組の今日の2回のスタートを見ていると、当たり前ですが、昨日の「OCS」が影響していました。「もうスタートでの失敗は許されない」、「安全に出ていかなければ」、の気持ちがブレーキとなって、出遅れのスタートになるのです。ここで攻める気持ちを失ったら、良いスタートなどできません。かと言って、「もっと攻めろ!」と、強く言えば、やみくもに出て行くスタートが心配です。普通の無難なスタートをする為には、冷静な判断と広い視野が必要です。
難しいのは十分承知のうえで「気持ちを切り替えて」と言葉をかけるのですが、それができるのは、試合巧者のレベルでしょう。試合巧者であれば、その切り替えが言われなくてもでき、そもそもBFDやOCSの失格の頻度も少ないでしょう。国内外の試合に可能な限り出場する理由を問われれば「試合巧者を目指してのこと」と私は答えます。
いずれにしても、今日は、やや凹み気味のスタートと風速変化にマストのチューニングとセールトリムが対応できていなかったのが第1レースでした。
凹んだ場所で待ち、しかもメインシートの絞り遅れのスタート、風のない所で、タッキングの回数の多さが目立ち、コース取りもちぐはぐだった第2レース。
「もっと走れるはずなのに」という印象が強く残りました。11位と21位、トータルで15位に順位を下げました。

近藤、田畑組も今日のスタートはいま一つ、特に第2レースは、いま五つ(そのような言葉は無い?)、本部船の左横、3艇目の位置で、10秒前にはじき落とされ、向い潮の中で風位に向いてバックしてしまいました。なんとかタッキングをしてスタートしたのですが、普通に出て行った艇には15メートル以上先行されていたでしょう。ポジションにこだわって狙いすぎ、向い潮の中で艇を風位に向け、完全に止めた為に起こった近藤・田畑組の最悪とも言えるスタートでした。

第1レースは、第1風上マークを8位、サイドマーク13位、下マーク3位、第2風上マーク2位、第2風下マーク3位、第3風上マーク6位、フィニッシュ6位。
2位に上がってから、ランニングもクローズホールドも、攻めのコース取りをしていました。2位に上がったのですから、自分からジャイビングやタッキングをして後続艇から離れるようなことをすべきではありませんでした。言い換えると、攻めるコース取りが裏目に出てl6位に順位を下げたのは、もったいなかったと言えます。基本は「守る」こと、同じ風の中を走る努力をすべきでした。

第2レース、目を覆うようなスタートで、風上マークは20位。サイドマークは後ろから一瞬のパフが来て26位に後退。サイドマークで即ジャイブをして、集団の左に位置してランニングを走り、13位に上がりました。次のクローズホールドは、大半の艇も同じコースを取りましたが、東方向の風が陸に近づくコースより強いと判断したのでしょう、右に伸ばしました。上手にタッキングをしてマークに寄せ、5位まで浮上し、そのまま順位をキープしてフィニッシュしました。今日の2レースで、トータル2位に上がりました。しかし上位は団子状態です。明日は、余計なことを考えず、レースを素直に戦うことを心がけるべきでしょう。

風が強いのは今日までのようです。明日以降、風が落ち、陸に沿って東寄りの風が吹くとのことです。潮流は、向い潮または追い潮となります。繰り返しになりますが、1レース1レース、勉強する、これまで通りの姿勢で臨んでほしいと思います。

小松 一憲

夜降っていた雨が、明け方には上がり、9時になって青空が広がりました。風は、昨日よりも平均して強く、すべてのクラスが陸上待機になりました。
風速が、少し落ちてきた13時より、RX級男子、続いて49er級、さらにRX級女子がハーバー前の防波堤に囲まれたエリアで、それぞれ2レースを行いました。
その他のクラスは、14時に信号が出て、明日以降に延期されました。

防波堤で囲まれた港のエリアは、南北に2マイル、東西に1・8マイルの楕円形で、10から12メートルの深さの所で1マイルの距離がとれます。
49er級の選手達に言わせれば「今日やるなら、なぜ昨日やらなかった?」の疑問が残るでしょう。しかし、そこが今回、「オリンピックに向けてのテストイベント」の所以です。オリンピックまでに様々のアイデアが盛り込まれ、変更もされ、今回とは違った大会になることでしょう。

明日の午前中は、まだ強風が残るようです。レースが延期されたことで休養することができました。どのようなコンディションになろうとも、パワー全開の元気の良いレースが見たいものです。

小松 一憲

朝から12メートルを超す風が吹き、470級男女、フィン級、レーザー級男女、RSX級男女、計7種目のレースが行われ、その他(3種目)は、中止されました。レースを行うかどうかの決定は、各種目のレースオフィサー、日本流に言えばレース委員長の判断にゆだねられています。インターナショナルのオリンピック種目の大会では25ノットから30ノットの風が一つの目安になっているように思います。30ノットの風ではどの種目も中止され、25ノットであれば、前記の7種目は、レースが行われます。

470級女子が定刻の11時ぴったりに、少し岸近くに移動したEエリアを使ってレースが始まりました。風向15度、風速9から14メートル、岸に近く、しかも陸風ということもあり、波高は高いところで50センチぐらいだったのではないでしょうか。トラぺゾイドはコースを2周する長さに設定されました。岸からあまり離れないように配慮したのでしょう。風上と風下の距離を短くしたとは言え0・7マイル(1260メートル)ないし0・8マイル(1440メートル)はあったと思います。

近藤・田畑組は本部船寄り10艇程の所からきれいにスタートしました。30秒ほど走ってタッキングし、右に伸ばしました。始めから、そのコースプランだったのでしょう。スピード良く右方向に艇団を引き連れる形で伸ばしていきました。待っていた右からのパフをつかんで左にタッキングを返しました。この時点でほぼトップの位置に見えました。第1風上マークを2位に15秒の差を付けて回航し、一時はダントツになりかけたのですが、ランニングのコースを約3分の2走ったところで風上側への沈をしてしまいました。幸い後続が大きく離れていた為に、沈をしても、風下マークを8位で回航することができました。その後は良く頑張り、追い上げて4位でフィニッシュしました。

第2レースも良いスタートで、やや本部船寄り、艇団の真ん中から出ました。スタートと走りが良い時の特徴でどうしても左に長く伸ばす傾向があります。大半の艇が左方向にいるのであればよいのですが、右に行ったということであれば、そこそこの所でタキングをし、右の集団をカバーする必要があります。良い走りをしながら風上マークは、右からマークに寄せてきた集団に先行され20位の回航になりました。サイドマークで13位、ランニングで8位と追い上げ、次の風上マークでは3位に浮上しました。その後、順位に変動なくフィニッシュしました。
昨日までの上位艇の中に沈をして順位を大きく落としたり、トラブルでのリタイヤーなどがあって、トータルで4位に浮上しました。

午後2時半より、男子のレースが女子に引き続き行われました。風向は25度、10度ほど右に振れ、風速も平均で1から1・5m落ちました。第2レースのスタートがおこなわれた3時半には、雨もぱらつくようになりました。インターネットでチェックした天気予報がぴたりと当たっていました。最近の天気予報は日本に限らず、どこでも良く当たり、それらをパソコンで見ることができるようになりました。予報が、時系列で的中するのには驚きます。全てはスーパーコンピューターのおかげでしょうか。

第1レース、艇団の3分の1、本部船寄りから出て右方向に展開し、風上マークを6位で回航した原田・吉田組でしたがOCSの失格でコースから排除されました。
スタートラインの風下で見ていた私も「そんなに早くメインシート引いて大丈夫?」と思わず叫びそうなスタートでした。リコールしたのは彼等を含め2艇だけ、スタートの号砲が鳴った時点で、自分達が周りの艇よりも前に出ているのが見えたはずです。スタートは、始めからI旗が掲揚されていました。黒色旗に準じるOCSの注意を喚起する目的で使われる旗です。あとで聞けば「スタートラインの見通しを取っていたから、大丈夫だと思った」との事でした。

彼等のOCSとBFDのスタートでの失格の多さにあきれ、そのたびに、自分のなえる気持ちに鞭打って、根気良く、何度も何度も、噛んで含めるようにあれもこれもとスタートに必要なことを教えてきました。確認したスタートラインの見通しがマークボートの乗員によって動かされる可能性、潮流や風向、風速変化で本部船との位置関係がずれる可能性、それらの危険を回避する為に「スタートラインでの潮流チェックの必要性」、「安全なスタートラインの見通しの取り方と、その必要性」、「運営スタッフの動向を観察し続ける必要性」、「一度ならず何度でも時間があれば確認することの必要性」等々、それでもなおと言うことですから、まだまだ、私自身の努力と工夫も足りないということでしょう。

第2レース、雨が降ると風は北東方向に変化するのでしょうか、マークは風向30度で打ち変えられました。アウトサイドリミットマーク寄り10艇右から無難なスタートをしました。今日の近藤・田畑組の第2レースとよく似た展開になりました。走りは良かったのですが、風上マークは13位、サイドマーク8位、風下マーク4位、その後、順位に変動なくフィニッシュしました。

原田・吉田組は初日を無難にまとめ、良い形で入れたかなと思った矢先の、まさかのOCSでした。またいつものお決まりの言葉で士気を鼓舞するしかありません。「レースは始まったばかり、まだどんなことが起こるか分からない、1レース1レースを大切に戦っていくだけ」

女子チームは、今日程度の風で沈をするというのが、今の近藤・田畑組のレベルです。一年前までの鎌田・近藤組のそれには到達していないことの証になります。
470級という二人乗りの艇は、二人合わせて「2の力」が磨かれてこそ、スピードもテクニックも向上するのであって、経験ある二人がコンビを組んだからと言って「2の力」がすぐに輝きを放つというものではありません。いつもいつも当たり前のことを言うようですが、とにかく練習あるのみです。

近頃、ヨーロッパのレースに強風が少なくなってきたと思っているのは私だけでしょうか。これは地球温暖化のせいではないかと考えたりもします。
このウエイマスで開催されるオリンピックは8月初旬です。おそらく強い風がこのように吹くことはないでしょう。
しかし私は、風の神様がいるのであれば、このレースは吹き続けてほしいとお願いします。8メートル以上の風で、私の見る限り、まだ世界のトップレベルに達していない原田・吉田組の為に、そしてコンビを組んで間も無い近藤・田畑組の為に技術向上のチャンスと練習の必要性を実感する試練を与えてくれることを祈ります。

小松 一憲

オリンピック開催予定地、ウエイマスでのレースが今日から始まりました。こちらに来て約2週間になるのですが、風が弱く練習にならない日は、1日もありませんでした。逆に強すぎて出艇を躊躇する日があるなど、平均して風が強めのコンデションが続いています。日中の気温は20度と過ごしやすいのですが、朝晩は寒さを感じるようになりました。

オリンピックの予行演習の目的を持つ この大会は、参加している選手にも大会関係者にも、とにかくレースに参加して、また実施してみて、と言った雰囲気があり、なんとなくリラックスしているように見受けられます。レース前の計測は、簡易的なチェックとスタンピングだけで、参加している国数もオリンピックの約3分の2程度と少なく、出場しやすいヨーロッパの開催でありながら、今年は見合わせた国も少なくありません。この雰囲気の源は「テストとリサーチが主たる目的」だからなのでしょう。交通、宿泊、食事、気象、海象、大会施設、大会運営、さらにお国柄等々、リサーチの対象は、セーリング特有のものを除けば、オリンピックに限らずスポーツ大会全般に共通するものです。

レースは、ウエイマスの防波堤に囲まれた港の中を含め、海岸線に沿って東西、横並びにAからFまでの6海面で実施されます。470級は一番西に位置するハーバーから、10メートル前後の風で走って45分程の距離の、F海面が使われました。F海面は、世界遺産にも登録されているという白い岩肌の崖と小高い丘陵地帯が東西に延びており、今日のように北東の風が吹くと、丘陵地帯を超え、正面の崖の右斜めから吹いてくるかたちになります。断続的で不規則な風向と風速の変化、加えて風のむらがあり、岸に近づくに従って風速も平均1から1.5メートル弱くなります。また岸にほぼ平行に流れ、干満で東西に方向が変わる潮流、これらの事柄をすべて頭に入れて、レースをするのですが、言うまでもなく簡単ではありません。

男子は、55艇が2グループに分けられ、女子は32艇の1グループ、それぞれ2レースが行われました。男子は11時のスタートで、女子は13時、男子の2レースが終了してから女子を行うというスケジュールでした。風速は、5・5から8メートル、風向35から60度の間で朝から夕方まで変わりませんでした。潮流は、12時から13時にかけて転流したのですが、町のマリンショップで購入した満潮時を基準にして1時間ごとの流れが表記された本を参考にしました。

原田・吉田組は、スタートラインの右3分の1、艇団の真ん中から無難にスタートしました。スターボードを少し走った後、右に展開して第1風上マークをトップで回航しました。2位に15秒の差をつけていました。アウターマークに向かうリ-チングコースでは、通常であれば楽々と後続を離して抜けていけるところなのですが、風にむらがあることもあってサイドマークまでに追いつかれ、10艇程の集団になりました。風下マークをなんとか2位で回航したのですが、向い潮の強い右方向を走ったことが災いし、第2マークを7位で回航、そのまま順位は変わらずフィニッシュしました。2回目のクローズホールドのコースは、自分の順位を守ることを考えたコース取りをすべきだという基本を忘れたのが、順位を落とす結果になりました。

第2レースは、アウトサイドリミットマーク有利のスタートで、本部船寄りの艇団、真ん中から出ました。出方は悪くなかったのですが、やはりアウトサイドリミットマーク有利のスタートでありながら右寄りから出た為に途中の見え方は、けして良いとは言えない位置を走っていました。コースの中盤から、左方向に伸ばし、最後は艇団の一番左、岸寄りに出ました。このコース取りが良かったのでしょう第1風上マークを4番で回航しました。サイドマークまでに3番にあがり、風下マークまで行きました。次のクローズホールドで後ろで回ったイギリスが右方向に伸ばし、右にシフトしたパフをつかんで一気にトップに出てきました。その為、4位に落ち、その後、順位は変わらずフィニッシュしました。
難しい風の中でのレースとしては、滑り出しはまずまずです。レースの序盤は、レースコースと風になれるまで、大けがをしないことを心がけ、とにかく基本に忠実に走るべきでしょう。

近藤・田畑組は、スタートラインにまんべんなく散らばった艇団の真ん中から無難にスタートしました。コースの3分の1までは、トップを争う位置にいたのですが、その後、左に長く伸ばした艇団が左振れの風をつかんで上マークを上位で回りました。艇団の右に位置していた近藤・田畑組はその振れをつかむことができず風上マークを12位で回航しました。風下マークまでに9位に上がったのですが、2回目のクローズホールドのコース取りがちぐはぐになり、フィニッシュは15位と順位を落してしまいました。

第2レースは、第1レース同様、ラインの半分やや本部船寄り、艇団の真ん中からきれいにスタートしました。このレースもスタート後、コースの3分の1まではトップの位置を走っていました。しかし、スタート後左に思い切り伸ばした艇団が、第1レース同様、左に振れた風をつかんでコースの3分の2の所で中央に寄せてきました。これをまたまた第1レースと同じく右で受けて走り、しのごうとしたのですがしのぎ切れず、次に集団の中に入ってタッキングの回数を増やすことになりました。ブランケットを避ける、風の変化に対応するという目的でタッキングするのはわかるのですが、数が多くなると、どうしても、素直に走っている艇に遅れをとります。タッキングは方向変換しながら止まっていることに等しいのです。第1風上マークの回航は22位でした。
次にサイドマークに向かって、お互いをけん制して、もしくは風が左に振れたことを考慮して、風上に大きく上って行ってスピンを展開する艇が多い中、一艇だけ真っすぐ走ることを選択しました。転流した潮の方向、左に振れた風が元に戻っていたことを考えると近藤・田畑組の選択は正解でした。サイドマークまでに5位に上がるることができました。その後、クローズホールドで抜きつ抜かれつしましたが、結局、前の2艇を抜くことができず、5位でフィニッシュしました。

第1風上マークの順位が良いのは、同じことを何回も言うようですが「スタートが良い」、「コース取りが良い」、「スピードが良い」の三つ要素が揃って可能になります。近藤・田畑組の今日の問題は、コース取りにありました。近藤選手の特徴と言っても良いのですが、いい方向を見極めたうえで、あるいは行かなくてはいけない特徴あるコンデションで最後まで我慢して、あるいは度胸をきめて深く突っ込むことができず、無難な所でコースの中に戻そうとする傾向があります。この傾向があって平均的に良い成績を収めているのですが、時と場合によっては、思い切り、あるいは誰よりも左なら左をキープするコース取りが必要になります。

第1日目を終わって、ベストではありませんが、BFDやOCS、DSQの失格など、大きなポイントを背負わずに戦いに入れたことを良しとしなくてはならないでしょう。強めの風がこれからも続く予報です。これからの展開は誰にも予測できません。ただ、しっかり走って勉強するだけです。