2009年 470級世界選手権大会報告 8月28日(大会6日)

小松 一憲

久々に曇りの天気でレースが行われました。14時を過ぎる頃から、雨がぱらつき、この雨をきっかけに、レースが終了した後、それまで吹いていた160度±10度の風が西に大きく変化しました。10メートルを超すほどの風速になりましたが、レース中の風速は、第1レースが5から6・5メートル、第2レース、6から8・5メートルで、170度方向からの向い潮、0・5ノットのコンデションでした。

今日は女子がアウターコースを使って先にスタートしました。近藤・田畑組は、スタートラインの左3分の1の位置から、まずまずのスタートをして、コースの中央に展開しました。向い潮を避けて右コースを選択するグループと、風の振れに対応し、右方向にこだわらないグループとに分かれたのですが、結局、始めから右に伸ばしたグループが第1風上マークを先に回航しました。今日の風速域であれば、もう少し前を走ってもおかしくないのですが、やはり何かがかみ合わないのでしょう。

第2レースは、アウトサイドリミットマークの2番手から良いスタートをしました。このレースも約3分の2の艇が右に伸ばしたのに対し、近藤・田畑組は左を選択しました。空は、左が黒く見えていたこともあり、この選択は正解でした。その証拠に、最初のタッキングでトラピーズリングをかけ損ねた田畑選手が落水するというアクシデント(ミス)にもかかわらず、第1風上マークを2位で回航しました。もちろん、この時はスピードもありました。その後、フィニッシュまで2位を守り切れず、ランニングでオランダ艇に抜かれました。ランニングは今後の課題であることを再度認識させられました。

原田・吉田組は、本部船の左横5艇目から、まずまずのスタートをして、右に伸ばすグループに入りました。途中まで悪くないように見えたのですが、右にあまり固執せず、早めに集団から離れるべきだったかもしれません。左に返すタイミングを間違えたと言えるでしょう。
風上マークを前で回航したのは、最後まで右に伸ばした艇では無く、風の振れに合わせて、走ってきた艇でした。風上マークを17番で回航し、順位変わらず風下マークも回航、その後は驚異的な追い上げを見せました。ただ一艇、左に伸ばしたのが功を奏し、第2風上マークで3位に浮上しました。あとで聞けば「ずっとスターボートタックがリフトだった」ということですから、潮流を意識して右に固執しなかったことが良かったのでしょう。ここで2位と1点差のトップになりました。

第2レース、アウトサイドリミットマークの一番手で出て、マークのゴムボートに接触し、ペナルティー解消の360度回転してスタートしました。風速が7から8メートル吹いていました。遅くて下手な選手などいないゴールドフリートです。スタートの大失敗は致命傷と言っても過言ではありません。若者言葉を使うのなら、また最後の最後に大事なスタートで「やらかした」と言うことになるのでしょう。してはいけない「乱暴なスタート」、「無茶なスタート」、「なめてかかったスタート」、「狙いすぎの出遅れスタート」、「一か八かのぎりぎりのスタート」等々、大事な局面で、スタートを無難に出て行く大切さを、言葉を換え何度も何度も言い聞かせてきました。始めから一点を狙っていたわけでは無かったと思います。スタートまで1分を切り、待っていいる間に向い潮の影響で高さを失い、その高さを確保する為に前に走り、マークボートとの距離を縮めてしまったのでしょう。しかし、その場所からのスタート諦め、判断する時間はあったはずです。まだまだ、若く、経験が無いと言ってしまえばそれまでです。本当にこのようなケースで、今年は優勝を落としてきました。フランスのスプリングカップ、イエールのフリートレース最終日、イタリアのガルダオリンピックウイークの3大会と今回、すべてメダルレースのBFDとスタートの大失敗によるものでした。今回はまだ試合が終わったわけではありませんが、走りが抜きんでているから余計に残念に思えてならないのです。第2レースの風上マークは18位、ランニングで22位ぐらいまで落ちて、次にまた左に出して大逆転を狙いました。今度は風が西に大きく振れようとしていましたから、「同じ柳の下にドジョウは二匹・・・」のたとえではありませんが、挽回することはできませんでした。17位でフィニッシュしたのに対し、トップ争いをしていたクロアチアは1位でフィニッシュして突き放されました。もちろん後ろのチームにも追い上げられることになりました。

今年の3月末から海外遠征を始め、原田・吉田組はレースごとにボートスピードが速くなってきました。成長してきたとも言えるでしょう。この成長は、レースという緊張感の中で練習のスピードを再現する能力、風速変化に的確に対応する能力、が高まったからにほかなりません。
明日のメダルレースは、衆目の中で総合力が試されます。特に迅速で的確な判断と行動を必要とします。経験不足は否めませんが、今年のメインイベントの締めくくりとして、しっかり走ってほしいと願っています。