キールウイーク2008 報告第4日(6月28日)

小松 一憲

前線の影響で今日も朝から雨が降り、午後になって、時折青空が雲間から顔を出すまで回復したのですが、黒い雲が頭上を通過するたびに小雨がぱらつく、すっきりしない一日となりました。風の傾向も昨日同様、時間の経過と共に右へ右へと振れていきました。「10時30分、235度、5から6・5m」、「第1レース、11時05分、245度、6から8m」、「第2レース、12時23分、250度、5・5から9m」、「第3レース、13時33分、265度、8から10m」、レースが終了し、ハーバーに戻る途中(15時30分)、270度、9から12mの風になりました。

風が上記のようなパターンの日は、右から入るパフをつかみにいき、つかんだところでコースの中央に寄せる、というのが基本的なコースのとり方になります。スタートする際は、闇雲に右にコースをとろうとするのではなく、スタートラインが風のどの状態(角度)に対して設定されているかを考えます。風向の平均を取って設定されるのが普通ですが、スタート及びコースを設定する責任者の考えで、右に振れようとする風にあらかじめ対応して設定してある場合もあります。また、風の振れ幅の中で時間的に長く吹く風にあわせることもあります。次に右振れのパフの中(周期)でスタートしようとしているのか、パフが終わった状態であるのかということもスタートラインに並ぶ時に頭に入れておかなくてはなりません。艇がどこに集中するのか、あるいは散らばるのか、を予測し、並ぶ位置を決め、最後に自分を囲む左右の選手との駆け引きが、これに加わります。

「スタートは良かった、スピードも悪くなかった」、にもかかわらず、上マーク回航順位が悪かったという選手に「どのようなスタートだった」と聞くと、よく、次のようなコメントが返ってきます。集団の形だけに対応して位置取りをした選手は、「集団の混乱を避け、集団のやや風下の安全なところから出ました、でも・・・」、また、スタートラインの傾きだけに対応して位置取りした選手は「有利サイドから、ちゃんと出たんですけど・・・」。いずれにしても、スタートは簡単ではありません。

近藤・鎌田組は、今日の3回のいずれのスタートもきれいに出ることができました。1回目は、本部船寄りにできた集団の左から8番手。2回目は、本部船横の5番手。3回目は、アウトサイドマークから3番手。スタートラインの中央、右、左と違った場所からのスタートでした。レーシングテクニックのベースとなるスタートが安定してきたことを、大変心強く思います。「とにかくスタート、まずはスタート、普通のスタートを」と私はずっと言い続けてきました。スタートが安定すれば、第1風上マーク順位が安定し、レースの順位も安定してきます。今回の成績(1・2・2・1・1・1・1・1・1・1)がそれを証明しています。今日の第1レースは、第1風上マークの6位から追い上げ、2位に23秒の差をつけて、トップでフィニッシュ。後の2レースは、第1風上マークからトップで、それぞれ43秒差、50秒差とダントツになってフィニッシュしました。明日のメダルレースは、ビリでフィニッシュしても余裕のポイント差で優勝できます。

歴史あるキールウイークでの優勝ですが、現在の世界ランキング(2位)を他の参加選手と比較すれば、最初から勝って当たり前と言われるでしょう。しかし、勝つべきところで、きっちり勝てたことを「よくやった」という言葉を添えて、私は評価します。そして、勝ったこと以上に、オリンピックを前にレーシングテクニックの引き出しを増やし、一歩前進できたこと、確実に駒を進めることができたことを嬉しく思います。
まだ明日のメダルレースを終えていないキールウイークですが、チンタオの海での次の練習に思いを馳せています。手綱を緩めることなく、兜の緒をしっかり締め、歩みを進めていきます。

男子の原田・吉田組も全力で毎日頑張っています。ぜひとも1レース、1レースを真剣に走り、ぜったい手ぶらでは帰らないぞと自分に言い聞かせ、勉強をしてほしいと思います。

キールウィーク2008 女子470級成績