2008年ヨーロッパ選手権大会 報告 最終日(6月14日)

小松 一憲

昨晩降った雨は、ガルダ湖を囲む2000m級の山の頂を白く雪化粧していました。気温も低く、今年の4月、ここで試合した頃の季節に戻ってしまったようです。

空は曇っているのに、12時に北の風が止んで、南方向から、良い風が入ってきました。それぞれのグループのレースが開始された13時に7mから9m、女子のメダルレースが開始された15時頃には10m以上の風になりました。マックスは13m以上あったように思われます。ここガルダの特徴でしょうか、吹き上がり始めて30分がピークで、その風は長続きせず、1時間もしないうちに平均で2mほど落ちてしまいます。この吹き上がってきた風に、いつもだまされ、ついオーバーなマストの倒し方をして失敗します。おおよその見当は付くようになりましたが、このあたりを正確に予測することは、私自身もできません。

今日の近藤・鎌田組もマックスに強風のチューンナップで走りました。しかし、ハーバーを出て行き、スタートを待つまでの時間帯が風速のピークで、スタート時には、少し落ち始めていました。このような場合、センターボードを上げる量、ジブシートのひき具合、ジブのトラベラーの調節、カニンガムホールの引き具合、ブームバングのかけ具合などを調節して、落ちてきた風に対応します。スタートして右方向に伸ばし、タキングするところまでは、トップの走りをしていました。ダントツになるのではないかという走りをしていました。しかし上マークにアプローチするわずかな時間に風が落ち、急に走りがおかしくなりました。上マークは、3位で回航し、第1風下マークも1艇身差で3位、これから追い上げると言う時にスピンのシートを船底にくぐらせてしまいました。スピンを下ろす時のタイミングが悪かったのでしょう。このタイミングと言うのは、スキッパーがスピンハリヤードのカムクリートをオフする(はずす)のと、クルーがスピンを収納し始めるわずかな時間差を言います。クルーの準備が整っていないうち、あるいはスピンをつかんで引き込みだす前にオフしてしまうとこのようなトラブルになるのです。470級に乗り始めてから、これまで何千回スピンの収納をおこなってきたのでしょう。これが練習では作り出せない、レースのプレッシャーなのです。風下マークを回航してから一気に走りが悪くなってしまいました。それでも二回目の上マーク回航は7番でした。ランニングのコースに入ってから、くぐっていたスピンシートを抜いて付け直し、何とか6位でフィニッシュしました。総合の順位も変わらず、ヨーロッパ選手権を6位で終了しました。

この女子のメダルレースの前に、メダルレースに出場する上位10艇を除く21艇で、男子のゴールドグループのレースがおこなわれました。上位陣が抜けているだけに原田・吉田組の順位は当然良くなくてはいけないのですが、ふたを開けてみると、本部船から数えて、5艇目に並んでスタートしたのですが、これが一艇だけ早すぎる「OCS」のスタートでした。誰よりも早く出たにもかかわらず、いまひとつスピードとのぼり角度が共に無く、上マークを、15番前後で回航しました。さらにランニングの走りにも冴えが見られず、下マーク回航では、後ろに3艇を数えるところまで落ちていました。
このレースの後、男子のメダルレースを観戦したのですが、世界のトップ選手と比較すると、艇のスピードも選手の動きのスピードも全て違い、激しさと力強さを感じました。厳しい言い方をすれば、大人と子供の違いが有りました。今の二人は、風速6m以下なら世界のトップと十分競える力を持っています。この6m以下の走りは、昔から日本選手の特徴でもありました。6m以上の風速域での走りが課題であることも昔から変わりません。ロンドンオリンピックのセーリング競技会場であるウエイマスは、風の良く吹く所で知られています。私も、過去2回レースをしました。やはり、風が強い中でのレースでした。今からそれに備えるべく、努力しなくてはなりません。「高い山もまずは一歩から」そして、どんなことがあっても、しっかり歩み続けるべきでしょう。

オリンピックを前に「スタート、コース取り」などと、ベーシックな言葉が多く出てきた報告になりました。極めていけばいくほどベーシックなところに行き着くのでしょうか。期待していた成績は取れませんでしたが、靄が消えて視界が開けるかのような、技術的進歩もありました。今時の若者言葉を使うなら「ゲットした」と言うのでしょうか。次に予定している試合(ドイツ・キールウイーク)にぜひとも活かし、更に磨きをかけていきたいと思います。

報告を終わります。

2008年ヨーロッパ選手権大会 470級女子成績 最終成績(PDFへの直リンクです)
470 OPEN EUROPEAN CHAMPIONSHIP